医界寸評

医界寸評

 紅葉の人出をさけ山形県庄内から届いた知人の甚太さんの有機米のにぎりめしを携え、賤ヶ岳へ冬虫夏草の探索に出かけた。昼食時カビ毒汚染米の話から、冬虫夏草の一種麦角菌による中毒の歴史、マスコミを賑わせている食の安全性、滋賀県から参加した仲間と昼飯の交換から江州米と庄内米の自慢話となった

▼食の安全性がゆらぎはじめたのは、古今東西人々が農村から都心に移住しはじめた産業革命以後、道徳・倫理に欠けた食品加工業者や商人の横行が始まって以来営々と続いている現実。210年前イギリスのフレデリック・アークムが著したインチキ食品と料理に入れる毒の科学的論文「鍋の中に死がある」に、今日の総責任者出てこいと政治論に話がはずむ

▼米の美味さに話しが移ると、美味さと安全性に関連して制定・施行されている「有機農業の推進に関する法律」では地域別・県別に農業の基準が異なること

▼有機栽培では収穫量がおとるためか、有機認定事業者数は全国的にも少ない現状に加え、米のうま味はその地域の土質、水、気温の変化により、何よりも農業専従者の耕作手法、習熟と米作りの情熱によるとの結論に達し、甚太さんの米に軍配が上がった

▼米談義のあと、腰をあげ自然生態系に悪影響のない害虫発生予防農薬となり得るかも知れない冬虫夏草菌をはじめ、新種の昆虫病原菌の採集に夕暮れまで熱中した早秋の休日であった。

(康)

【京都保険医新聞第2665号_2008年11月17日_1面】

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