医界寸評  PDF

医界寸評

 4月1日に施行された診療報酬の改定、消費税増税という嵐のせいで忘れかけていたが、13年12月6日に成立した「特定秘密保護法」について、新聞・ニュースで見かけることが減ってきた▼以前から新聞を始めとするマスコミはこういう法律が議論されるときには国民の「知る権利」を根拠に反対の立場でキャンペーンをしていたが、かつては世論をかなり誘導できていたと思う。しかし今回は、この法律ができて困るのはマスコミだけだろうという意見がインターネットを中心によく見られた▼小泉医療制度改革の際に、我々が一所懸命反対しても自分たちの利益のために運動をしているように言われた姿とダブる。「日本はスパイ天国」などという意見もあり、ナショナリズムに根ざした意識が高揚したのも先に述べた意見が出てきた原因かもしれない▼インターネットでは「ネット右翼」と呼ばれる人たちがいる。この言葉はインターネットで国粋主義、他国民を侮辱する発言を繰り返す人を揶揄する言葉ではあるが、そういうネット上での発言が若者の意識に大きな影響を与えているのではないか。迎合する必要はないが、我々の医療運動もそういった意見を意識した対応が必要なのかもしれない。正論を述べても心に響かなければ何にもならない。正しいことこそ小さい声で、という言葉があるらしい。(内)

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