医界寸評  PDF

医界寸評

 ソチで開かれていた冬季オリンピックが無事に終わった。日本は羽生結弦の金を含む8個のメダルを獲得し長野オリンピック以来の成果だそう▼テレビなどほとんど関連の放送で占められ、大騒ぎされた高梨沙羅、上村愛子、浅田真央等各選手たちは大変だったろう。生まれ育ちから現在の家庭環境、衣食住の好みはもちろん、親の収入状況まで報道される熱の入れようで「国民的英雄」なのだから何でも許されるとばかりの節度のなさに恐れ入る▼挙げ句には「あの子、大事な時には必ず転ぶ」という東京五輪・パラリンピック組織委員会会長である森元首相の発言まで出てきた。麻生副総理の「ナチス」発言、最近相次ぐNHK幹部など安倍首相取り巻き連の逆行歴史認識発言、反社会勢力への賛同発言、女性の社会進出への反対論など驚くべき本音丸出しの物言いが怖い▼この軽々しい、知性を疑う発言の洪水を許して良いはずがない。マスコミの劣化が指摘され久しいが、当然なされるべき反撃の弱々しさに不安が募る▼オリンピックで明け暮れた2週間のうちに、国内では大雪による国民切り捨ての寒々とした政治状況が確認できたし、国際的にはソチのすぐ近くのキエフで多数の犠牲者が出る政変が起こっていた。主催したプーチンの今後を大きく左右する世界的大事件なのに報道はあまりにもお粗末なものだった。(さ)

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