今月1日、旧医師会館跡地に新しくオープンした病院は、1981年に京都府と京都市の援助を受けて京都府医師会が作った「京都地域医療学際研究所」の附属病院として北区に開設されたものである
▼福祉元年といわれた73年の老人医療費無料化のお陰で高齢者の受診が増え「医療機関が年寄りのサロンになっている」などと悪口をいわれるようになり、82年には無料化廃止、83年には例の「医療費亡国論」が出る社会保障後退の時代背景だった
▼今後の高齢化の課題も見え、金属バットによる両親殺害事件など家族の変容も顕わになる社会状況の中、西陣医師会の若手医師を集めて、これからの地域医療の問題を広く学際的に研究しようと呼びかけられた、二代目所長の藤田医師の熱い言葉に感激したことを思い出す
▼発足時には公費に加え個人の寄付も多く寄せられ、その後も北・上東・西陣医師会は市民健診を請負うなど、期待を込めて物心両面でこの研究所を支えてきたが、病院連れて引っ越しちゃうとは
▼予測された以上の早さで07年には超高齢社会に突入してしまったこの国で今さかんに提唱されているのが「地域包括ケア」。それこそ地域医療学際研究の大成果が問われている。新病院もリハビリはいい。が、隣が旧医師会館跡地一部売却転用で「サ高住」に、とはいかがなものか。(さ)