医界寸評
改憲の動きが強まっている。この憲法は世界で高く評価されており、99年オランダのハーグで開かれた「世界市民平和会議」で「各国議会は、日本の憲法第9条のように戦争放棄決議を採択すること」と決めている。翌年の国連ミレニアム・フォーラムの「平和・安全保障・軍縮」グループの報告書でも同じ趣旨が強調されている。世界の平和を希求する人々は、日本国憲法を21世紀の世界の憲法にと願っている。まさに「世界遺産」そのものなのである
▼今回は9条は置いておいて、まず96条を改正して、改憲案を発議するためのハードルを引き下げようとするものである。改憲論者の中でも良識のある人は反対しているが、筋の悪い禁じ手である。先の総選挙でも自民党は圧勝したが、59・32%の低い投票率の中、小選挙区の得票率は43%で79%の議席を獲得しており、比例区ではたかだか24・6%の得票率である。こんな選挙制度でハードルを下げて憲法を変えやすくするというのは問題である
▼アインシュタイン博士は「世界は進むだけ進んで闘争を繰り返すが、やがて疲れて、世界の人類は真の平和を求めて世界の盟主を必要とする時が来る。それは日本である」と言っている。中国や韓国、北朝鮮と緊張が高まっているのは事実だが、非核平和主義の原則は守って、少なくともアジアの平和の盟主を目指したいものだ。(彦)