医界寸評(門雀庵)

医界寸評(門雀庵)

 少し古い話になるが、新型インフルエンザの報道は、成田空港での発見からいつもながらの集中豪雨的なものとなり、日々現場中継を繰り返し、神戸での発見後は、刻々と何処で何人確認されたなどと細々報じ、日本が原因でフェーズ6になるのではと騒ぎ…。街ではマスク姿の行進、店頭からはマスクが消え…▼今となっては、そんなことがあったのかというような、フェーズ6になっても、わが国での患者数が2千人を突破しても、学校で学年閉鎖となっても扱いは小さい。しかし、南半球では感染が拡大し、日本でもこの季節にかかわらず着実に感染者数を増やしており、ウイルスは虎視眈々と好きな季節が来るのを待っているようである。また、タミフルに耐性を持つ変異をしたものも大阪で確認され(論文優先で報告は遅かったが…)、何時また変異して強い毒性を持つものに変わるかわからず、高病原性の鳥インフルエンザも何時人から人にうつるように変異するか判らない。今回の騒ぎは天が与えてくれた予行演習で、秋以後の本番に向かって備えねばならない▼一方、政治の世界は解散総選挙へと暑い夏を迎えることとなった。ますます報道はインフルエンザなどそっちのけであろう。これが諸兄の目に留まる頃には3千人を超しているであろうか? 全数把握しなくなりはっきり分からなくなってしまうだろうか? ただただ忘れないで備えたいものである。(門雀庵)

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