医界寸評(木鼠)

医界寸評(木鼠)

 民主党政権のもと、医療・社会保障政策がどう変わるのであろうか。社会保障費の自然増毎年2200億円抑制は撤廃されるので、社会保障分野への予算は拡大するだろうが、予算の立て方の見直し、無駄の排除だけで予算拡大を持続させていくことが、可能かどうか? 社会保障政策の優先順位を予測すれば、(1)子ども手当、(2)後期高齢者医療制度廃止と「地域保険化」に向けた制度改革、(3)医師養成数の引き上げだろう▼また、医療・社会保障政策全体がどう変わるかというポイントの一つは、地方分権ですべてを解決しようとすること。医療保険の都道府県単位化=「地域保険」をてこに、さまざまな福祉や社会保障の実施責任が、都道府県に移されてくるのではないか。「地方分権」という言い方で、地方への税と保険料財源の移譲を求める都道府県知事会の圧力を利用して、さまざまな社会保障の仕事と責任が地方に回されてくるだろう。その結果、個々の地方自治体の実力、優先順位の考え方の違いにより制度・給付水準の地域差が生まれる可能性が大である。社会保障の地域差が生じて良いものであろうか。もう一つは、官僚による政策立案から、政治主導型に変わるが財界圧力や世論動向によって価値観が揺れ、場合によっては、思いがけず不安定になる可能性がある▼新政権の船出を見守りながら、しっかりと現場の声を上げていこうではないか。(木鼠)

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