医界寸評(康)
連休を利用して山形県庄内へ稲作を依頼している田を見に行った。水田はすでに水がひかれ水鳥がやってきて餌をしきりにつついている。一方、キジが休耕地から飛び立つという対照的な光景が広がる。いつものうまい有機米が待ち遠しい▼夜、稲作を依頼している甚太さんと酒を飲みながら、農業の現状を聞いた。細々と自給する零細農家の温存支援策として778%の関税をかける「米価維持」政策は必要かもしれない。反面、創意工夫に意欲を燃やし、17町歩を耕作している甚太さんのような米を主業とする農家の人々に減反政策、転作奨励など制度が毎年変更になるのはかなわない。それでも2割も未収に終わるネット販売、冬の温室栽培、山間部に植えた蕎麦の温泉旅館への直売で収入を補っている。しかし甚太さんは農業が楽しいと言い切る▼昨年9月15日のリーマンショック以来、金融は混乱の極に陥っている。それ以前から、原油その他の商品の乱高下が激しすぎる。これでは医療政策をはじめ国に一貫した政策ができるはずがない。混乱の時代、重要なのは、お上の政策ではなく、各個人の覚悟の問題であるように思う▼とはいえ私もミーハー、翌日アカデミー受賞の”おくりびと”のロケ地月光川の川岸にいき、記念写真用に置かれた椅子に座り、人々を笑わせるため「続編おくられびとのロケにやってきました」などと冗句を言う人間です。(康)