医界寸評
来るべき解散、総選挙については米国金融不安そして世界景気減速が与える日本経済への打撃、宙に浮いた年金問題、汚染米をめぐる農水省批判そして何よりもパッとしない内閣支持率のせいもあってか、なかなか決まらない
▼危機に立つ介護保険、後期高齢者医療制度の問題点および存廃も大きな論点・争点である。後期高齢者医療については、舛添厚労相は「今の制度は国民に支持されていない」として、75歳での線引きや保険料の強制的天引きをやめると言い出した。事実上の「廃止」宣言であった。総裁選終盤麻生氏も同調した。ところが与党の連立政権合意においては「高齢者の心情に配慮し、より良い制度に改善する」とトーンダウンした。見直し方針のかけ声だけでは総選挙前の「争点隠し」にしかならない。後期高齢者医療制度は見直しではなく「廃止」であるべき
▼しかし「廃止」の後に、どのような方式が選択されるか、高齢者人口の増加による医療費増をどうまかなうか、これをはっきりさせる必要がある。(1)旧来の老健制度による共同事業方式(2)現在の独立方式(3)連合案である突き抜け方式(4)坂口私案の財政調整方式(5)民主党案による保険一元化などが検討対象となろうが、財源を含め、こんどこそ当事者である高齢者の意見・主張も取り入れなければならない
▼確固たる安定的財政、給付の確実性が保たれてこそ安心できる高齢者医療制度なのである。(木鼠)
【京都保険医新聞第2659号_2008年10月6日_1面】