医業継承の問題浮き彫りに 有床診向けアンケート調査結果
協会は今年8月、有床診療所を対象に「医業継承に係るアンケート調査」を実施した。全国的に減少傾向にある有床診療所が抱える問題点の一つとして「医業継承」を捉え、京都府内の有床診療所の実態を把握することを目的に実施した。回答した有床診療所の半数以上が、医業継承に係る何らかの悩みを抱えていることが分かった。本内容については今年9月、渡邉賢治副理事長が、保団連病院・有床診療所セミナーで報告した。
アンケート調査は京都府内で入院基本料を届け出ている(稼働していると考えられる)有床診療所の所長・院長を対象に実施(55診療所)。21診療所から回答が寄せられた(回収率は38%)。調査は2015年8月17日〜9月7日にかけて実施。郵送により送付し、郵送またはファクシミリにより回収した。
産婦人科からの回答が最も多く14診療所、67%を占めた。続いて、内科、眼科が続いた(いずれも2診療所、9%)。回答はすべて男性からで、50歳代が最も多く8診療所(38%)、次いで60歳代(6診療所、29%)であった。
継承の経験については、約半数にあたる10診療所(48%)がこれまでに経験しており(図表1)、「子」への継承が最も多く(7診療所、70%)(図表2)、継承により診療科が変わったケースはなかった。
今後の継承については、決まっている診療所が6診療所(28%)で、決まっていない診療所が13診療所(62%)と、決まっていない診療所の方が多かった(図表3)。決まっている場合の継承予定者は、すべて「子」であった。
医療継承における悩みを尋ねた(複数回答)ところ、14診療所(67%)が何らかの悩みがあると回答しており、「法的手続き、税制上の処理」「継承者の確保」「病床の保持、確保」の順に多かった。
その他、有床診療所に係る点数が低く、診療報酬の引き上げを求める意見があった他、後継者を含めた医師確保の困難さ、スプリンクラー設置義務化等を問題視する意見も寄せられた。協会では今回得られた結果を基に、有床診療所対策にもさらに力を入れていきたい。アンケート調査にご協力いただいた診療所においては、この場をお借りしてお礼申し上げる。