医師確保対策で補助金を活用/知事会との定期協議で外口医政局長
厚生労働省と全国知事会の第1回定期協議が7月28日に開かれた。定期協議は舛添要一厚生労働相の発案。すでに3回にわたる知事会との意見交換を行っている舛添厚労相は、さらに実務レベルでの協議の場の設置を求めていた。厚労省の江利川毅事務次官はあいさつで「厚労行政は国民生活と密接な関係があり、施策を進める際には各自治体との協力関係が不可欠」と述べ、実務レベルで定期協議を進めることの意義を強調した。
一方、知事会側からあいさつした神田真秋愛知県知事は、検討課題の多くは「制度見直しの途上で重要な局面にある」と指摘。「企画立案の段階から意見交換の場ができることは地方分権を進める上でもよいモデルケースになる」と評価した。
同日は協議事項として医師確保対策を取り上げた。厚労省の外口崇医政局長は、医師不足は複合的な要因が絡むとの見方を示し、幅広く対応策を検討する意向を示した。特に産科、小児科、救急医療についてインセンティブを付けていく方針を示し、診療報酬上の対応は必ずしも医師の処遇に直結しないとの判断も踏まえ、補助金などの活用を想定した取り組みを進める意向も明らかにした。
医師不足の地域間格差解消に向けては、各大学ごとに設定する地域枠で入学した医学生を卒後臨床研修制度でマッチングの対象から外すことも検討するとした。さらに現状では卒業生が8000人、受け入れ定員は1万1500人で、臨床研修を受ける側が自由に研修先を選択できる状況にあるとし、この点も検討対象になるとした。
また、開業医を交えた救急医療対策について「よい事例がある」とし、2009年度予算での対応に前向きな姿勢を示した。リスクが高い診療科での訴訟対策では、産科医療補償制度の創設などを検討しているとし、積極的に対応する意向を明らかにした。
さらに外口局長は「これから力を入れたいのはコメディカルのパワーアップ」と述べ、医師以外の医療関連職種の活用が医師確保対策でも大きな柱になるとの見方を示した。
一方、地域への医師配置の公的関与については「へき地で従事することの義務付けを検討したが、うまくいかなかったことがある」と述べた上で、「少し時間をもらいたい」とし、引き続き検討する意向を明らかにした。(7/29MEDIFAXより)