医師確保の補助金「半減」/行政刷新WG「診療報酬見直しが前提」
厚生労働省の事業を担当する行政刷新会議のワーキンググループ(WG、主査=尾立源幸参院議員)は11月12日、2010年度の概算要求で574億円を計上している「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」を半額削減すると判定した。尾立主査は「(11月11日のWGで決まった)診療報酬の見直しが前提。それと組み合わせた形で補助金を有効に使ってほしい」と述べ、「開業医と勤務医の平準化」に向けて、まず10年度診療報酬改定で配分を見直した上で、なお医師確保策が必要な場合は、10年度の補正予算で補助金を計上するよう求めた。
これまでの中医協の議論では「医師確保や救急・周産期医療の充実は診療報酬だけでは不可能」との意見が診療側委員を中心に上がっていた。しかし仕分け人は、医師確保は補助金よりも、あくまで診療報酬の配分の見直しで対応するよう求めた格好だ。
この日のWGでBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は、医師が地域や診療科に偏在している問題は、これまでの診療報酬の配分に起因すると指摘。「診療報酬(の配分)を抜本的に変えることができれば、補助金の支給を変えることができるのではないか」と述べ、委員構成が変わった中医協での議論に期待感を示した。
また、東日本税理士法人の長隆氏は、補助金の使い道について「採算が取れない離島や山間部など、へき地に重点的に交付して、そのほかは診療報酬でみるべき」と持論を展開。ただ、医師不足問題に関しては「総務省の公立病院改革ガイドラインにあるように、選択と集中、再編ネットワークをきっちりやらない限り解決は難しい」とし、診療報酬上の評価や補助金の交付だけでは改善しないとの認識を示した。
これに対し、事業内容を説明した阿曽沼慎司医政局長は、個人的な発言と前置きした上で「10年度の診療報酬改定の結果を受けて、今の医療制度を見直し、12年度の診療報酬改定の時に補助金制度も含めて対応すべきと思っている」と語った。
今回、仕分けの対象となったのは、救急医療体制の整備や医師確保などに取り組む地方自治体や指定の医療機関、団体に交付する補助金。ドクターヘリの導入や新生児集中治療管理室(NICU)に対する支援などに充てられているが、財務省によると、08年度は予算額の7割程度しか執行されなかったという。
阿曽沼局長は、医師確保や救急・周産期医療に対する補助金を半額削減する方針が示された後、記者団に対し「この補助金の必要性については理解はいただいたと思っている」と述べ、同事業の重要性を強調した。(11/13MEDIFAXより)