医師国保への定率補助、廃止へ/12年度から段階的に
細川律夫厚生労働相と野田佳彦財務相は12月17日、2011年度政府予算案をめぐる折衝を行い、国保組合への定率補助を、所得水準に応じた0−32%の5段階の補助に見直すことで合意した。12年度から5年間かけて段階的に引き下げ、所得水準の高い医師国保に対する補助は16年度に廃止される。
定率補助の見直しには国民健康保険法の改正が必要で、厚生労働省は11年の通常国会に改正案の提出を目指す。
見直しでは、医療給付費の32%を一律に交付する定率補助を改め、所得水準に応じた0%、8%、16%、24%、32%の5段階の補助とし、激変緩和のため5年間かけて段階的に引き下げる。定率補助が0%となるのは、市町村民税課税標準額が300万円以上の組合で、全ての医師国保が含まれる。
さらに、定率補助に加えて財政状況によって交付されている「普通調整補助金」などの上乗せ部分についても統廃合し、分かりやすい補助体系に再編する。
厚労省の試算によると、見直しによる国庫補助の削減額は16年度で420億円程度。加入者1人当たりの削減額は、医師国保で4万9000円、歯科医師国保で3万円、薬剤師国保で3万3000円となる。
国保組合への定率補助をめぐっては、10年11月に行われた政府の行政刷新会議による事業仕分けでも取り上げられ、所得水準の高い国保組合に対する定率補助は廃止と判定されていた。
12月2日の社会保障審議会・医療保険部会では、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が、赤字に陥っている医師国保もあり、定率補助がゼロになれば大幅な保険料引き上げが生じ、被保険者が市町村国保などに流出するとし「国策による国保組合つぶし以外のなにものでもない」と訴えていた。厚労省は、事業仕分けの結論や医療保険部会での意見を踏まえ、予算編成過程で具体的な見直し案を検討するとしていた。
予算編成に向けた12月17日の厚労、財務両省の閣僚間折衝では「保険者間の給付と負担の公平を図るため、事業仕分けの結論に沿って見直しを行う」ことで合意した。(12/20MEDIFAXより)