医師不足、周産期センターにしわ寄せ/妊婦死亡問題で厚労省、調査結果公表  PDF

医師不足、周産期センターにしわ寄せ/妊婦死亡問題で厚労省、調査結果公表

 都内で起きた脳内出血の妊婦死亡問題に関して厚生労働省は11月7日、聞き取り調査の結果を明らかにした。同日開かれた民主党の周産期医療再建ワーキングチームの初会合で厚労省の担当官が説明した。周産期母子医療センターは給与面などでの待遇が悪く人材が集まらないことや、医師不足で産科を閉鎖する病院が多いため、センターにしわ寄せがきているなどの実態が浮き彫りとなった。

 調査は厚労省が東京都と総務省消防庁との合同で、受け入れ拒否をした8病院と搬送を依頼したかかりつけ産婦人科医院を訪問し、聞き取りを行った。

 調査結果によると、病床が常に満床になっている原因としては、(1)分娩を取りやめる病院が多い中、センターに正常分娩からハイリスクまでの分娩が集中している、(2)多胎などハイリスク妊娠の割合が上がっており、少しでもリスクがあるとセンターに紹介されてくる─ことなどが挙がった。ハイリスク妊産婦を受け入れる体制を確保するため、正常分娩を制限することや、病床稼働率が低くなっても経営的に成り立つような支援が必要との指摘もあった。このほか母体の救命のため、救命救急センターや脳外科などを備え、必ず受け入れられる仕組みを検討すべきとの提案もあった。

 今回の事案で手間取った搬送調整については、搬送調整を選任で行うコーディネーターを求める声や、搬送調整の情報交換を行う専用電話の設置が必要との声も出た。

 医師確保については、(1)センターは訴訟リスクが高く拘束時間が長い割に、給料がよくないため人材が集まらない、(2)人材が集まるよう医師の手当を手厚くする補助を行い、交代勤務制が組める体制をつくるべき─などの意見が出た。(11/10MEDIFAXより)

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