医師の超過勤務「是正されるべき」/麻生首相
医師の超過勤務手当が十分に支払われていない問題で、麻生太郎首相は5月7日の衆院予算委員会で「現実問題として各地で今起きている。これは是正されるべき」と述べ、何らかの対応が必要との認識を示した。前原誠司氏(民主)の質問に答えた。
前原氏は奈良県立奈良病院の産婦人科医が県を相手に起こした訴訟で、奈良地裁が当直は「時間外労働」だとして「割増賃金」の支払いを命じた判決を取り上げた。前原氏は「医師の超過勤務をサービス残業として搾取して今の医療費が成り立っている」と指摘し、労働基準監督署が是正勧告を行い病院がサービス残業に対してきちんと賃金を支払うべきだとした。
これに対し、麻生首相は「私は払われてしかるべきなんだと思う」と述べ、超過勤務手当が必要だと認めた。一方で「これをぱっとある日やると、県営、市営ではとても急患はやれませんから。困るのは患者ですから」とも述べ、一律に超過勤務手当を支給すると財政状況の厳しい自治体病院などではサービスの低下を招き、結果的に患者に不利益をもたらすとした。麻生首相は「そこの資金の手当をきちんとしないと危ないことになる。そこは行政側が注意してやらないと難しい」と述べ、慎重な対応が必要になるとした。
全国周産期医療連絡協議会が2008年に行った調査によると、総合周産期母子医療センターの97%で夜間勤務を宿直扱いにしていた。前原氏は「07年に各労働局が立ち入り調査した医療機関1852施設のうち約8割の1468施設で法違反が見つかった。産科の医師に限った問題ではない。こういったことは是正されるべきだ」とした。(5/8MEDIFAXより)