医師の診る風景 和束より(6)
柳澤 衛(相楽)
認知症カフェ
2013年度の京都包括支援推進団体交付金の事業として、相楽医師会主催で和束町でも認知症カフェを開催しました。「茶源郷カフェ その物忘れが病気になる前に」、として園地区の公民館で地区住民30人の参加を得て行いました。
多職種連携で顔の見える関係を構築することが包括支援で大切と考え、試行錯誤をしながらの開催でした。医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士が15分ずつ認知予防などの話をした後、8人ぐらいの小グループでのおしゃべりタイムとしました。4人のほかに、ケアマネ、福祉課職員、保健師などがそのグループに参加して大声で談笑しました。普段は広い公民館の広間に5つの話の輪ができ、大声はグループが隣りあわせなことと、少し耳の遠い方がおられるせいでした。歯科医の先生から噛むことの重要性を解説していただいたのですが、参加者が高齢の方で義歯の方が多く、中には総入れ歯の方がおられ、話がかみ合わないなど、楽しい会になりました。医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士が一度に揃うことなど和束町ではないことです。認知症から話が広がり、孫の虫歯のことや、薬の飲み忘れ対策、ボケ防止の献立などあっという間の2時間でした。医師以外は和束町外の方でした。
医師、歯科医師、薬剤師はこのような住民相手のお話会の経験が少なく、なかなか話の調子が乗らなかったのですが、管理栄養士は女性であったことも幸いしたのか、高齢者への受けが一番良かったようです。聞けば、食事の話は対話相手にその食事を作っていただかないといけないので、双方向の話をしているとか。医師も歯科医師も薬剤師も、気をつけてはいるけれども情報は一方向のようだと反省会で意見を言い合いました。また行政の方からもこのような会を住民にしていきたいが、地区に偏りがあっては開催が困難であるとか、普段では聞けない問題点が明らかになりました。
2014年度診療報酬改定から、地域での完結型の包括ケアシステムが求められ、16年改定ではよりその流れが強化されています。
過疎の地域では、社会資源の不足から地域完結型はできません。「茶源郷 その物忘れが病気になる前に」で示されたように、他地区からコレクティブな協力で実施していくことが大切と思います。それにつけても沢山の方とお話するのは愉快です。