医師の技術評価に「総合負荷・貢献度」/全社連、医療課に提出
診療によって医師にかかる負荷と、診療が患者の社会復帰などにどれくらい貢献したかを合わせて評価する「総合負荷・貢献度」を数値化し、診療報酬での適切な医師の技術評価につなげようという研究結果がまとまった。研究で取り上げた92疾患のうち、最も医師の負荷が大きく患者への貢献度が高かったのは劇症肝炎だった。次いで重症急性膵炎、急性心筋梗塞、成人呼吸窮迫症候群、急性白血病が上位5疾患となった。2011年度の全国社会保険協会連合会共同研究「診療報酬における医療技術の評価」(班長=齊藤寿一・社会保険中央総合病院名誉院長)の研究班が検討してきたもので、結果は6月9日、厚生労働省保険局医療課に提出した。
研究班は、全社連の51病院の医師を対象に、入院医療での92疾患について医師の医療技術評価に関する意識調査を行った。対象医師1119人のうち725人が回答した(回答率64.8%)。回答医師の内訳は内科系が51%、外科系が49%だった。
調査では、内科系・外科系の主要92疾患の中から各医師が専門領域に近い5疾患以内を選択。▽各疾患の診療に必要な経験年数の下限▽入院後1週間の1日病棟活動時間─を記載してもらった。
個別の診療行為の負荷については▽問診▽診察▽検査決定▽治療方針決定▽説明と同意取得─など16項目にわたる各行為に対する負荷について「極めて大きい」(評価点5)から「極めて小さい」(評価点1)までの5段階で評価してもらった。
「患者への貢献」では▽救命的な貢献▽社会復帰の促進▽在院期間の短縮─など5項目について5段階評価した。
これらの結果を基に診療担当医師から見た各疾患の「医師の総合負荷・貢献度」を算出。診療担当医の病棟活動時間などを基に1日当たり医療技術評価点を試算したところ、劇症肝炎は5331点、重症急性膵炎4725点、急性心筋梗塞4557点などとなった。研究班は、現行の点数体系では各疾患の医療技術評価は検査、処置、手術など特掲診療料の中で断片的に評価されているものの、問診、診察、疾病想起、予後見通し、説明と同意取得など、最も基本となる医療技術は適切に評価されていないのが実態としている。(6/10MEDIFAXより)