医会寸評  PDF

 今回の診療報酬改定はマイナス改定であった。厚労省は、財務省からの圧力にもかかわらず0・004%プラス改定にしたという。しかし、長期収載品薬価の引き下げを入れればマイナス改定になっていることは、少し考えれば誰にでもわかることだ。実質0・06%マイナスなので、財務省は痛くも痒くもない。

 しかし、今回の改定にはポリシーがあるという。そうであれば、たとえマイナスでも納得できる改定という見方もできる。社会保障・税一体改革の評価は分かれるだろう。少子高齢化社会では、医療費はどんどん増え続け、支える財源は減り続ける。このままでは保険医療制度が破綻するので、破綻しないための方向が、一体改革といわれている。

 若い世代は、年金のみならず今の健康保険制度は破綻すると思っている。子どもより、選挙権のあるお年寄りの方ばかり政治家は見続けてきたのだから仕方がない。子育てしている保護者に、子の数だけ選挙権を与えれば、20年後の日本を真剣に考える政治家が増えるであろう。でも選挙制度改革を決めるのは、自分の政党の当選者が増えることを第一に考える今の政治家達である。

 社会保障・税一体改革のポリシーを進めれば、2025年まであと6回の改定で、保険診療が医療の進歩に遅れないで、かつ破綻しないでいられるであろうか? それまでに何人の厚労大臣が就任するのだろうか?(蕉)

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