勤務医・医学生が医師の抜本的増員を求めて国会で会見

勤務医・医学生が医師の抜本的増員を求めて国会で会見

 「医療崩壊阻止!医師・医学生署名をすすめる会」は、7月25日、国会内で記者会見を行った。同会は、地域医療を守るために医師の増員を求める勤務医・医学生の有志の会。会見では、OECD諸国並の医師数の確保、勤務医の待遇向上などに必要な施策・予算措置を求める「地域医療の再生を求める医師・医学生の請願署名」が呼びかけられた。当日は、超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の役員らが同席し、朝日新聞、日本医事新報社などをはじめ数多くのメディアも参加した。

 代表呼びかけ人の1人である済生会栗橋病院副院長・本田宏氏は、医師不足の下での医師の過重労働が医療ミスにつながるという問題を強調しつつ、OECDデータからみた日本の医師数の少なさ、昭和23年の病院の標準医師数が現在まで持ち越されている問題、超高齢者もカウントする実働医師数26万の数字の曖昧さ、厚生労働省の将来医師数の見通しの非現実性などを論じた。そして「団塊の世代が後期高齢者になるのに20年ある。今増員していけば何とか間に合う状況だ」、国民の命の安全保障のためにも「国に対して実効性のある医師数の増員を求める」と同会設立の趣旨と活動への協力を訴えた。

 同様に代表呼びかけ人である全日本医学生自治会連合委員長・宇敷萌氏からは「患者から信頼される医師になりたいが、現場の状況を聞いて将来働いていけるのかどうか、訴訟にならないかという不安を感じる。大学のアンケートでも産婦人科などは忌避されている」と医学生にある不安な心情を述べた。

 議員連盟からは、自民党参議院議員・尾辻秀久議連会長、民主党衆議院議員・仙石由人同会長代理、民主党参議院議員・鈴木寛同幹事長、自民党参議院議員・世耕弘成同事務局長、共産党参議院議員・小池晃同幹事が出席した。尾辻議員は「『骨太の方針』にある医師数増員をきちんと実行させる。3000億の特別枠ではやるべきことを着実に実行させ、2200億円削減は何とか食い止めたい」と意気込みを語った。他の議員からも「できる限り早急に財源を確保して対策を打たなくてはならない」、「医療崩壊に国民が不安を持つ中で、医師、医学生が声を上げたことは国民にも大きな励ましになる」といった激励がなされた。

 同会では、当面、勤務医16万人の3分の1の署名数を目標に活動するとしている。また、国民に対しては呼びかけ人協力やカンパを訴え、国政選挙で国民医療を真剣に考える政治家を選択するような世論の形成を目指していく。

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