加算設定の裁量権を自治体に/介護保険改正案、大臣認可撤廃
厚生労働省は地域密着型の介護サービスについて、一定の範囲内であれば自治体の裁量で介護報酬への加算を独自に設定できる仕組みを導入する。今国会に提出予定の介護保険制度改正案に盛り込む。小規模多機能型居宅介護と夜間対応型サービス、さらに、2012年度から新サービスとして実施を目指している「24時間地域巡回・随時訪問サービス」にも、地域のニーズに合わせた独自の加算が設定できるようになる。
老健局総務課の大澤範恭課長が2月22日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で明らかにした。現在も地域密着型の介護サービスに関しては、全国一律の介護報酬より低い報酬設定であれば自治体に裁量権を認めている。また、全国一律の報酬を超える独自の上乗せ加算を設定する際も、厚生労働大臣の個別認可を受ければ一定の範囲で可能となっている。今回の改正では、独自に加算を設定する際の大臣認可制度を撤廃する。
●現在は20自治体で独自に設定
振興課によると、現在、大臣認可を受けて独自の加算を設定しているのは東京都千代田区や大阪市、石川県加賀市など20の自治体。20全ての自治体が小規模多機能に独自の加算を設定しているほか、このうち2つの自治体では夜間対応型訪問介護にも加算を設定している。
加算の設定方法はさまざまだが▽認知症加算のない日常生活自立度?の高齢者を受け入れている小規模多機能型居宅介護(加算300単位・対象者加算)▽夜間対応型訪問介護のオペーレーションセンターに医療職(医師・看護師・保健師のいずれか)を配置し、多職種間の連携を調整し、24時間体制を整備(同100単位)▽介護従事者の80%が常勤(同300単位)─などがある。
●「24時間サービス」にも自治体の判断で
24時間サービスにも独自の加算を可能とする。現在、事業者によってはテレビ電話を用いたモデルや、民間タクシー会社と連携するモデルなど、独自の工夫で24時間対応のサービスを提供している。厚労省は加算について「設定する際の条件や単位の範囲などの詳細はこれから決める」(大澤総務課長)としているが、自治体の判断で地域のニーズに合わせたサービスを提供できる仕組みにする狙いだ。(2/24MEDIFAXより)