副理事長就任にあたって
真の福祉国家を目指して
副理事長 渡邉賢治
7月21日の参議院選挙の結果、自公が過半数を獲得した。今後TPPへの参加、原発再稼働と海外への売り込み、消費税増税を行うことは明らかである。再起動した構造改革(新自由主義改革)を行いやすく、加速度をつけるため、憲法9条をはじめ改憲議論の浮上は必至である。
この情勢のなか私たちは、国が進める社会保障制度改革に対抗し国民皆保険制度を守らねばならない。社会保障制度改革推進法を基に社会保障制度改革国民会議で議論されている、「いつでも、どこでも、誰でも」保険証1枚で受けられる医療からの転換を阻止せねばならない。また、国の姿勢を強く批判し、開業医医療の正当な評価をさせる必要がある。
TPPでは、薬価決定のシステム自由化で薬価が高くなるだけでなく、検査・手術費も高騰する可能性がある。また、混合診療の解禁などの規制緩和が断行されることで、国民皆保険制度が崩壊し、経済的格差が命や健康の格差になる。このことを断じて許すことはできない。さまざまな分野の人たちと共にTPP反対運動を強め、その危険性を訴える必要がある。
原発問題は、東京電力福島第一原発事故後、いまだ危険な状態が続くなか、安倍首相は「世界一安全な原子力技術」とし他国と原子力協定の締結や原発輸出促進等を図っている。これに対し協会は抗議文を送付。その姿勢を非難した。また、9月の定期検査で大飯原発の運転が停止され、「原発ゼロ」の状態になる。これに向け「原発ゼロ」の運動を進めたい。さらには、昨年6月に「原発事故子ども・被災者支援法」が可決成立したが、いまだ支援法に基づく基本方針すら策定されていない。早急に被災者の「健康」に生きる権利を保障するよう国に働きかけていきたい。
最後に選挙後、必ず改憲問題が浮上してくる。自民党改憲案は、本来憲法は国民が国を縛る立憲主義に基づくものであるのに反し、国が国民を縛るものになっている。目的は、新自由主義の理想を現実化するためだ。改憲の動きを注視し、私たちは憲法の本来あるべき姿を学ぶ必要がある。
取り組むべき問題は山積している。協会は提言してきた社会保障基本法に力を持たせ、国民の健康と命を守る真の福祉国家を目指し運動を推し進めなければならない。
これからも会員の先生方のご支援、お力添えをよろしくお願いいたします。