制度改正へまず「地域包括ケア」議論/介護保険部会
厚生労働省は6月21日、社会保障審議会・介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大教授)を開き、介護保険の制度改正に向けた議論に入る前段階として、「地域包括ケア研究会」(座長=田中滋・慶応大大学院教授)から2009年度報告書について説明を受けた。25年に目指すべき「地域包括ケアシステム」の姿を描いた同報告書は、高齢者の在宅生活を支えるサービスの提供体制や介護保険施設の類型再編などを提言。厚労省も施策の参考にする意向を示している。委員からは、独居高齢者の増加が見込まれる現状などを踏まえ、施設サービスを拡充する必要性を指摘する声も上がった。
●高齢者の在宅生活を支える
09年度の厚労省補助金事業として同研究会がまとめた報告書は、生活の場からおおむね30分以内に必要な医療や介護、福祉サービスに到達できる25年の「地域包括ケアシステム」を描いている。「24時間365日短時間巡回型」の訪問サービスなどによって高齢者の在宅生活を支え、リハビリテーション機能を強化した介護保険施設が、入院した高齢者の在宅復帰を支援する形を想定。一方、このような機能を持たない従来型の介護保険施設は、基本的な見守りと生活支援サービスを提供する集合住宅と位置付け、医療や介護サービスは外付けで提供するとしている。要介護者に対する基礎的な医療的ケアは、医師や看護職員との連携の下、介護福祉士らが行うとしている。
政府は10年5月に「地域包括ケア研究会報告書も参考としつつ、幅広い観点から介護保険制度の在り方について検討を行っている」との答弁書を閣議決定しており、制度改正の参考とする考えを示している。(6/22MEDIFAXより)