利用者負担増は見送り/介護保険制度改正案で厚労省
厚生労働省は12月24日、2011年の次期通常国会に提出する介護保険制度の改正案について「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」のポイントを発表した(資料1、後掲24ページ)。「地域包括ケアシステム」の実現を主眼とした「医療と介護の連携強化」や「認知症対策」など6つのポイントを挙げ、改正案を「11年の通常国会に予算非関連法案として提出する予定」(大澤範恭老健局総務課長)とした。12月22日の民主党の提言を受け、利用者負担増による国費負担軽減措置は見送る。第5期以降、全国平均で5000円を超えるかどうかが焦点となっている保険料については、都道府県の財政安定化基金の取り崩しを充てる法整備などによって上昇を緩和するとした。
介護療養病床については「廃止期限を猶予」とした。廃止期限について大澤総務課長は「(猶予3年とする)民主党の提言を踏まえて、具体的には政府内でこれから検討する」と述べた。猶予後の取り扱いは廃止なのかとの記者の質問に対して、大澤総務課長は「通常であれば」と答えた。
社会保障審議会・介護保険部会の意見書に検討事項として盛り込まれた補足給付の支給要件厳格化や、多床室の室料負担の見直しは、実施する場合、省令や告示などで対応できるため「12年度の予算編成や、介護報酬改定の中で対応する可能性はある」(大澤総務課長)とした。
●24時間対応サービス創設
厚労省が示したポイントは▽医療と介護の連携強化等▽高齢者の住まいの整備や施設サービスの充実▽認知症対策▽保険者が果たすべき役割の強化▽介護人材の確保とサービスの質の向上▽介護保険料の急激な上昇の緩和―の6つ。新たなサービスについては「単身・重度の要介護者等に対応できるよう、24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスや複合型サービスを創設」との文言を盛り込んだ。
保険料について老健局総務課は、財政安定化基金の市町村負担分の取り崩しと、介護給付費準備基金の一部取り崩しによって、約180円は下げられると見積もっている。(12/27MEDIFAXより)