処遇改善加算、「給与水準の維持」は必須ではない/厚労省
厚生労働省は1月25日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、「介護職員処遇改善加算」の要件について「給与水準の維持」は必須ではないとの見解を示した。当初の厚労省の提案では、加算を算定できる要件として前年度の給与水準を下回らないことなどを挙げていた。事業所は処遇改善加算で得られる分は全て賃金改善のために使い切ることが求められるが、経営状況によって介護職員の給与水準が下がったとしても加算は算定できる。
介護職員処遇改善加算は、交付金の継続か介護報酬内に取り込むかで揺れていた11年の段階で、厚労省が介護報酬内に取り込むことを想定した措置として提案した。その際、算定要件として前年度の給与水準を下回らないことなどを提案していた。
分科会では、施設サービスの基本報酬が全体的に引き下がり、地域区分の見直しで報酬単価が下がる地域もあることから、前年度の賃金水準を維持できない事業所が出てくる可能性があり、こうした事業所が処遇改善加算も取れなくなれば、さらに、給与が下がるという悪循環が発生すると懸念する声が上がった。
これに対し厚労省総務課の高橋和久企画官は、提出した資料に要件として明記した「介護職員処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること」の解釈として「処遇改善加算相当分はそのまま賃金改善として使わなければいけないが、事業所の経営が厳しければ給与水準は下がる場合もあり、それは現行の処遇改善交付金でも同じ」と説明し、賃金水準ではなく処遇改善加算相当分がそのまま賃金改善に使われることが重要と強調した。
介護職員処遇改善加算は、介護報酬単位に介護職が関係するサービスごとの「加算率」と地域区分ごとの「報酬単価」を乗じた額となる。事業所の収入が少なくなれば処遇改善加算分も少なくなる仕組みとなっている。(1/26MEDIFAXより)