再診料の病診格差の是正は疑問/日医・藤原常任理事
日本医師会の藤原淳常任理事は、8月9日の中部医師会連合社会保険特別委員会で、中医協で議論した2008年度診療報酬改定の検証結果を基に次期改定の方向性を解説した。
再診料の外来管理加算については「5分要件」は想像以上に大きな経済的影響を受け、不満の声も大きいと指摘。「無理なエビデンスづくりによって要件を設定したことが大きな問題」とし、あらためて「5分要件」は不要とした。再診料について病院と診療所で格差をなくす方向で議論が進んでいることにも疑問を呈した。
小児科で新設した「小児入院医療管理料1」については、公立の大きな基幹病院への手当として評価できるとの見方を示す一方、医師数などの要件が厳しく、中小病院では算定しづらい現状を問題視。要件緩和による対象拡大が必要との見方を示した。
救急医療対策では、「救命救急入院料」を「3日以内」と「4?7日」に分けたことを「きめ細かな対応」と評価した。t-PA投与で算定できる「超急性期脳卒中加算」の新設については、届け出施設もすでに651施設に達するなど一定の意義があったと指摘。ただ、算定要件の緩和が求められるとの考えを示した。
「地域連携診療計画管理料」の対象疾患に「脳卒中」が追加されたことも評価した。ただ、前回改定で点数が大幅に引き下げられた点に疑問を呈し、地域連携パスを今後、拡大させるためにも、インセンティブを与える点数設定が必要になると指摘した。
病院勤務医の負担軽減については、勤務状況がまだよいとは言えないとの見方を示す一方、「大変と言われている部分はどこなのか、しっかり見る必要がある」と指摘。「その上で、中医協で医療崩壊をどう理解するかという本質的な議論が行われるべきでありながら、行われていない」と述べた。
後発医薬品の使用促進については「国民を含めて信頼性がまだ不十分」とし、大学病院や公的病院などの大病院が率先して使用促進に取り組むことを提案した。療養担当規則にまで「後発医薬品の使用の考慮」が書き込まれたことは、医師にとって倫理綱領ともいうべき療担の「品位を損なうことになった」と批判。安全性に疑問を持ったまま、投薬の内容を安易に変更される処方せん様式は改善すべきと主張した。
後発医薬品関連では静岡県医師会が東海北陸厚生局静岡事務所から、保険医療機関の指導を行う際に提出を求める「保険医療機関概況」の書式で「直近1カ月の後発医薬品の使用状況等」を報告する欄を追加する案が示されたことを同委員会に報告。こうした対応は「療担の変更に基づく」との説明があったという。他県からは、口頭で後発医薬品の使用状況について問われることはあっても、文書に記載することはないとの情報提供があり、静岡県医も同様に対応する意向を示した。(8/11MEDIFAXより)