公費負担妊婦健診の回数に地域格差/日本産婦人科医会が実態調査
日本産婦人科医会は7月9日の記者懇談会で、公費負担の妊婦健康診査に関する各支部実態調査の結果を公表した。それによると、公費負担による妊婦健診を5回行っている全国の市町村は2007年5月の137市町村から08年4月には1354市町村まで急増したものの、四国・九州ブロックでは5回を上回る市町村はほとんどなく、その一方で東北ブロックでは6回以上が50%以上に達するなど、地域格差が大きい実態が浮き彫りになった。
妊婦健診の公費負担については、少子化対策で使われる地方交付税が08年度に倍増したことを受け、厚生労働省は07年1月16日付の通知で、市町村が公費負担する妊婦健康診査の回数を5回程度とするよう求めていた。厚労省の調査では、公費負担による妊婦健康診査は08年4月現在、全国平均で5.5回行われ、07年8月時点の2.8回からほぼ倍増したことが明らかになっている。
同医会の調査結果から全国の公費負担妊婦健診の状況をブロック別に見ると、6回以上の市町村は東北ブロックで50.7%ともっとも多く、次いで東海20.0%、中国19.2%、近畿17.9%などとなっている。10回以上の市町村も東北が最も多く32.2%。次いで、東海15.0%、近畿12.3%、中国7.3%などと続く。ただ、近畿については、滋賀県で10回以上の市町村が突出して多く、ブロック全体の率を引っ張っていた。近畿では4回以下の市町村が44.1%を占めている。一方、四国では5回を上回る市町村は3.2%、九州1.4%に止まった。
同医会は今回の調査結果を踏まえ、現状の周産期死亡率や妊婦死亡率を維持するためには13−14回の妊婦健診が必要などとしたコメントを公表。さらにすべての妊婦健診の公費負担を要望した。