公費投入割合、4年ごとに見直しも/高齢者制度改革で厚労省
厚生労働省は10月25日の高齢者医療制度改革会議(座長=岩村正彦・東京大大学院教授)に、高齢者医療への将来的な公費投入割合について、4年ごとを軸に定期的に見直すことを提案した。当面は47%にとどまっている75歳以上の公費負担割合を、新制度に移行する2013年度に50%に引き上げる。
現行の後期高齢者医療制度では、給付費の約5割を公費負担としているが、現役並み所得のある高齢者(約120万人)には公費が投入されていないため、実質的には47%にとどまっている。この割合を50%に引き上げることで、約3500億円を追加投入することになる。さらに、改革会議の中間取りまとめで公費投入について「高齢者や現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要」と指摘したことを踏まえ、定期的に医療費動向や社会経済情勢などを踏まえながら、公費の在り方を検討する仕組みを導入することを提案した。
●被用者保険者間案分は全面的に総報酬割
被用者保険の支援金の案分については全面的に総報酬割を導入することを提案した。現行の3分の1総報酬割、3分の2加入者割と比べて、協会けんぽの負担は2100億円の負担減となる一方、健保組合は1300億円、共済組合は800億円の負担増となる。現役並み所得のある高齢者の公費負担割合を5割に引き上げた場合、健保組合で負担が増えるのは540組合、負担が減るのは922組合。共済組合では負担増が62組合、負担減が21組合となる。
●70−74歳窓口負担、13年度から順次2割
このほか、70−74歳の窓口自己負担割合について、現行の1割から法定の2割に順次引き上げることも提案した。13年度に70歳になる人から順次2割とし、17年度に全員が2割となる仕組み。70歳未満の窓口負担は3割、75歳以上は1割を維持する。厚労省は「69歳で3割を負担しているので、70歳で2割になっても実質的な負担割合は下がると認識されると思う」と説明した。
さらに、現行制度で現役世代の人口減少による現役世代の保険料増加分を、75歳以上と現役世代で折半する仕組みについて「保険料規模を考慮していないため、基本的に高齢者の保険料の伸びが現役世代を上回る」とし、高齢者と現役世代の保険料規模に応じて分担する仕組みを、新制度移行に先駆けて12年度に導入することも提案した。これにより、75歳以上と現役世代の1人当たり医療費の伸びが同じならば、保険料の伸びもほぼ均衡することになる。(10/26MEDIFAXより)