公的医療機関にも「労基法違反」/医師ユニオン調査
大学付属病院や国公立病院など地域の拠点となる病院のうち、168病院が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業を定めた「36協定」を結んでいることが11月22日、全国医師ユニオンと全国医師連盟の調査で分かった。締結する職種に医師が含まれていない例や、協定を締結していないと見られる例もあることなどから、同ユニオンは「公的な医療機関で労基法違反がある」と指摘し、労働条件の改善を求めていく考えを示した。同日、ユニオンが開いた記者会見で明らかにした。
月80時間以上の残業を認める36協定を結んでいたのは41都道府県の168病院。最も多かったのは東京の25病院、次いで兵庫が14病院、愛知が12病院。このうち、東京の都立病院ではすべて120時間となっていた。1日の最大残業時間で最も長かったのは、大阪府の病院で20時間、1カ月では愛知県の病院で200時間、1年間では愛知県の病院で1470時間の病院があった。
また、締結する職種に「医師または医師を含む」と明記していたのは622病院(57%)で、328病院(30%)の開示文書では職種欄が黒塗りされており、判別できなかった。開示がなかった458病院について同ユニオンは、直近1年半で協定が締結されなかった可能性があり、協定の締結そのものがなかったか、自動更新されている実態があると見られると指摘した。
調査は全国の病院の中から大学病院や国公立病院など地域の拠点となる1549病院を選び、直近1年半に締結された36協定を労働基準監督署に開示請求した。開示されたのは1091病院。458病院は「該当文書がない」などの理由で開示がなかった。労働基準法では、週40時間以上の労働を行わせるには労基法第36条に定められている36協定を締結する必要があるとしており、同ユニオンはその趣旨から毎年労使交渉で結ぶべきとしている。(11/25MEDIFAXより)