公明党京都市会議員団と懇談  PDF

公明党京都市会議員団と懇談

国保問題中心に制度論議も

 協会は9月1日、主に京都市域における医療問題をテーマに公明党京都市会議員団との懇談会を開催した。公明党京都市会議員団(以下、議員団)からは、大道義知(団長)・日置文章・谷口弘昌(代表幹事)・柴田章喜(副団長)・井上教子(副団長)・久保勝信(幹事)・曽我修(幹事)・湯浅光彦(政調会長)・津田早苗(政調副会長)・吉田孝雄(政調副会長)・平山賀一(政調事務局長)の11議員が出席。協会からは関浩理事長、垣田さち子副理事長、飯田哲夫政策部会理事と事務局が出席した。今懇談は、地域の実情を踏まえ、その問題解決に足る国の制度のあり方を双方が真剣に意見交換し合う政策論議の場となった。

 冒頭、関理事長の挨拶に続き、議員団の大道団長が地域におけるチーム医療への尽力に謝意を示された。

 懇談は、飯田理事から京都市域の医療課題について話題提供し、それをもとに意見交換した。

懇談で挨拶する関理事長
懇談で挨拶する関理事長

「会員意見」から実態報告

 飯田理事は、現在最終集計中の全会員対象アンケートから浮かび上がった「医業の実態」「患者の実態」も踏まえ、3つのテーマを提起した。

 テーマ1「国民皆保険制度の危機と市町村国保」では、(1)すべての市民に保険証を、(2)保険料高騰を生み出す市町村国保の財政問題解決には国庫負担の増額を、(3)保険料や窓口負担の軽減に向けて―応能負担原則を貫く制度への転換を、(4)医療費抑制システム構築としての国保の都道府県単位一元化は認められない。

 テーマ2「地域包括ケアと介護保険制度、京都市の保健衛生行政について」では、介護保険制度改善と同時に、地方自治体が住民の療養と暮らしを支える仕組みを再構築することが必要と指摘し、(1)介護保険制度改善を国に対して要望、(2)地域での生活・療養を支え、高齢者の生命を守る中心は市町村であるべき。

 テーマ3「京都市におけるワクチン行政の推進ついて」では、国に対しワクチンギャップの解消を求め、京都市として独自の助成制度創設も要望した。

国保の実態で意見交換

 意見交換は、テーマ1の国民健康保険制度が中心議題となった。

 議員団からは、資格証明書交付は国の指導による仕組みだ。経済状況の厳しさから払いたくても払えない実態はあるが、国民皆保険はお互い支え合って制度を維持している。無差別で全員に保険証交付することが理解を得られるか、と問いかけがあった。これについて協会は、500円玉を握りしめて診療所に来る患者さん等、日常診療の場で遭遇する実情を紹介し、あくまで現場の実態から制度見直しが行われる必要があるとの考えを述べた。これを受け議員団からは、保険料滞納で困っている人たちが行政窓口に行っても厳しい対応を受け、その後足が遠のいてしまう実態がある。行政が親身に相談にのる体制の構築が必要。前提として医療は絶対に必要であり、保険証があってもなくても医療を受けられる体制づくりこそが必要だ、との意見が述べられた。

協会の01年提言を解説

 続いて議員団から、協会の言う要望内容は、私たちもそのとおりだと思う。しかし、その実現にはどういう制度が必要と考えるのか。財源問題もあるがどうか。京都市国保の赤字累計が常に80億円近くある。国保加入者は低所得の方が多い。国保制度自体を改善する必要がある。専門家団体として協会の抜本的な国保制度見直しについての構想が知りたい、との問いかけがあった。

 協会は、まず前提として国のありようが変化せねば、こうした要望は実現しない。まさに政治家の課題だと述べた上で、2001年に発表した医療保険・介護保険抜本改革提言の内容を解説した。

 その上で話題は、後期高齢者医療制度廃止の経緯に及んだ。議員団からは、後期高齢者医療制度反対の声が主に名称等の『印象』を理由に広がったのではと危惧を感じていると述べられた。協会は、後期高齢者医療制度は5対4対1の閉じられた財政構造で、地域の高齢者の医療費が保険料にそのままリンクする。これによって、保険者は結果として医療費抑制に走らざるを得ない仕組みである。これこそが制度最大の問題であり、廃止を求めた理由だとあらためて説明した。議員団は、後期高齢者医療制度廃止に至る経過の中で、本当はそれを政局に利用するのではなく、今日のように冷静に議論し、問題を見据え、高齢者に諮ることだったのではないか。今後も、こうした政策論議をしたいと述べ、協会も引き続き意見交換の場が設定されることを求めた。

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