入院時食事療養「標準負担額」引き上げ方針に関する意見調査結果  PDF

入院時食事療養「標準負担額」引き上げ方針に関する意見調査結果

[意見調査実施方法等]

・実施期間:2015年3月2日〜3月25日
・対  象:京都府内の会員病院(168病院)の院長および栄養課責任者
・回  答:院長46人(回収率:27%)
      栄養課責任者63人(回収率:38%)
・目  的:入院時食事療養「標準負担額」引き上げ方針に係る意見聴取
・方  法:質問票によるアンケート調査(質問票を郵送し、郵送又はファックスにて回収)

大多数が引き上げ反対

 入院時食事療養の標準負担額引き上げに対し、約8割が「反対」とした一方で、約10%強が「賛成」とした(図1)。
 反対の理由として「調理を含め食事は治療の一環だから」「患者負担をこれ以上増やすことに無理を感じるから」に半数以上が回答したが、病院長は患者負担増に着目した理由「患者負担をこれ以上増やすことに無理を感じるから」が最も多く、栄養課責任者は食事が治療の一環であることに着目した「調理を含め食事は治療の一環だから」が最も多かった(図2)。その他の理由では、「患者の中には食事を断る日も出てくる可能性がある」「病院収入が増えると誤解される可能性がある」「病院食離れの増加、持ち込み、出前等の急増が考えられ、衛生面での確保が難しくなる」などが挙げられた。
 賛成の意見は少なかったが、その中で「誰かが負担しないと仕方ないから」という理由が最も多く、6割を超えた(図3)。

病状に対応し正確に調理するために

 調理師の配置状況では、委託業者による配置を含めるとほとんどの病院で「調理師」が配置されていた(図4)。病院給食に「調理師」は必要かとの問いに対しては、「病状に対応した献立通り正確に調理するために必要だ」との回答が8割を超えた。「できるだけ必要だ」を含めると9割を超えた(図5)。
 その他の理由では「正確な調理だけでなく、見栄えの面でも技術を必要とすると考える」「ちゃんとした技術を持った調理師と管理栄養士が取り組むことで治療効果の上がる病院食を作ることができる」などが挙げられた。
 「調理」技術は治療に活かせるかとの問いに対しては、「病状に対応した献立通り正確に調理することで、治療に活かすことができる」との回答が病院長で9割近くを、栄養課責任者で9割以上を占めた(図6)。その他の理由では、「料理は同じ材料、調味料を使えば同じものが出来上がるわけではない。正確に、しかも技術を取り入れることでおいしくなり、治療に活かすことができる」などが挙げられた。

入院給食は医療 本来の「療養の給付」へ

 自由意見欄では、▽財源不足を理由にすべてを患者に転嫁するのは如何か▽治療の一環としての食事が崩れ、食の安全性が保てなくなり、お弁当屋さんのように毎日同じような食事を提供するのでないので、大量仕入れができないため、コストを下げることもままならない▽入院給食は医療の一環です。今回の引き上げ方針に断固反対するとともに、入院給食を本来の療養の給付に戻すことを強く要求します▽給食は医療の大切な柱です。栄養状態を適正に保つことは、病気、怪我の治癒を早めていきます。患者負担が増えれば結果として食事を取らない患者さえ出てくるのではと心配します。負担増に反対します—などの声が寄せられた。

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