入院基本料等加算、2回の改定で段階的整理/中医協で厚労省案
厚生労働省は12月7日の中医協総会に「入院基本料等加算」の見直し案として、次期診療報酬改定で算定率の低い加算について施設・患者要件の見直しを進める一方で、次々期診療報酬改定までに算定率の分母となる病態や治療法などの実態を個別に調査した上で、加算としての役割を終えたと考えられるものは廃止も含めて判断すると提案した。
次期と次々期の2回の改定で対応していく算定率の低い加算について、厚労省は▽患者の病態が算定要件となっている加算▽治療法が算定要件となっている加算▽制度が算定要件となっている加算─に分類した。
算定率の計算については「各入院基本料等加算が算定された回数」を分子とし「同加算が算定可能な入院基本料、特定入院料が算定された回数」を分母として計算しているため、分母を大きく見積もっている可能性が高いと指摘。各入院基本料等加算がターゲットとしている特定の病態や治療法、制度に対して、実際にどの程度算定されているかを計算するためには、分母となる病態や治療法などの実態を個別に調査する必要があると説明した。こうした対応は次々期改定に向けた課題になるとした。
●療養病棟療養環境加算は廃止の方向
また総会では、次期改定での対応策として「栄養管理実施加算」と「褥瘡患者管理加算」を入院基本料の要件として一体評価の中に含めるほか、「療養病棟療養環境加算」「診療所療養病床療養環境加算」については医療法上の要件を下回るものとして加算を廃止する方向性を提案した。
栄養管理実施加算の算定率は2008年が95.4%、10年が97.9%で、ほぼ98%に近い病院が算定している。褥瘡患者管理加算も10年の算定率が90%に上り、栄養管理実施加算と同様に多くの病院で算定している現状にある。このため診療報酬項目の簡素化の観点から、入院基本料、特定入院料の要件として一体的に評価するとした。
また、「療養病棟療養環境加算」「診療所療養病床療養環境加算」については、施設基準が医療法上の構造設備基準を一部下回っていることから、加算を廃止する方向を提案した。
厚労省案に対して加算の整理・統合を強く求めていた白川修二委員(健保連専務理事)は「事務局案におおむね賛成だが、次期改定での統合・整理が3項目にとどまったことは残念だ」と述べた。これに対して西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「療養病棟療養環境加算、診療所療養病床療養環境加算を算定している医療機関数はどのくらいなのか。地域別も含めて提示してもらいたい」とし、医療法上の経過措置との関係などを精査した上で、慎重に判断する必要があると指摘した。(12/8MEDIFAXより)