入院医療「入退院曜日」「退院時刻」など論点に/中医協総会
中医協は11月25日の総会で入院医療について審議し、高度急性期と一般急性期、亜急性期等、長期療養、有床診療所、地域特性などをめぐって次期診療報酬改定の方向性を確認した。入退院の曜日や、午前中退院、入院基本料などが論点に挙がった。
厚生労働省が論点を問題提起した後、委員同士でディスカッションした。改定率が出た後で、施設要件や点数の増減幅といった細部を詰めていく。厚労省は今回の入院医療に続き、外来医療、医療連携、院内体制などもテーマに取り上げたい考え。
政府が社会保障・税一体改革で描いている2025年時点の病床数は、高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期等26万床、長期療養28万床。これに対して2010年時点で一般病棟入院基本料を算定している病床数は、7対1が32万8518床、10対1が24万8606床、13対1が3万3668床、15対1が6万6822床となっている。25年のイメージでは高度急性期から長期療養まで病床数がバランス良く配分されているが、現状では約半数が7対1病床に偏在するなどバランスを欠いている。厚労省はプロセス評価やアウトカム評価を重視しながら、病床数のバランスを是正していきたい考え。
厚労省は入院医療の評価ポイントとして、入退院の曜日を挙げた。DPCデータによると、土日曜日には緊急手術を除けば手術があまり実施されていない。このため、金曜日に入院する患者や、月曜日に退院する患者の平均在院日数が長くなっていることへの対応が必要ではないかと問題提起した。
ただ、医療関係者からは反対意見が相次いだ。嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は「土日退院が少ない理由には社会的要素がある。申し訳ないが違和感がある。土日に手術をしろと言われたら、医療現場も困る」と厚労案に難色を示した。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「入院か在宅療養か判断に迷う症例で土日を挟む場合には、金曜日に入院をお願いしておかなければ危ない」と指摘した。
逆に、花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は患者の立場から「金曜日に入院し、食事だけして土日を無駄にするのならば、効率化には賛成」と厚労省案を支持。ただし「必要に応じて24時間365日対応する医療機関も評価してほしい」と付け加えた。入退院曜日の評価については今後もデータを提示し、議論を続ける。
また厚労省は、退院日の食事回数が0−1回(昼食前退院)の割合が全体の4分の3を占めていることから、午前中に退院するケースも論点に挙げた。関原健夫委員(日本対がん協会常務理事)は「入院料を半額にしてはどうか」と提案したが、西澤寛俊委員(全日本病院協会長)が「旅館と同じように考えているのだろうが、最近はこうしたケースは少ない」と反論した。
このほか鈴木康裕・保険局医療課長は「7対1入院基本料届け出病院のうち、看護必要度は高くないものの平均在院日数が長いケースについて考える必要がある」と問題提起した。(11/28MEDIFAXより)