保険者側「検討を」、診療側「保険料率で」/定額負担で医療保険部会  PDF

保険者側「検討を」、診療側「保険料率で」/定額負担で医療保険部会

 厚生労働省は9月16日の社会保障審議会・医療保険部会で、受診時定額負担の仕組みと高額療養費制度の見直し案を提示した。保険者側からは「財源負担の必要性を国民に理解してもらい、定額負担を一つの選択肢として検討すべき」との声が上がった。一方、診療側委員や一部の公益委員からは「定額負担には反対」「保険料率の引き上げで対応すべき」との声が相次いだ。厚労省は次回以降も継続審議し、年内に結論を出す構え。導入する際には法改正が必要になる。

 厚労省は、今回提示した受診時定額負担について、保険給付対象外の医療費が発生しないため「保険免責制とは異なる仕組みだ」としている。仮に保険給付の対象となる医療費を5000円とした場合、サラリーマンの自己負担は定率3割分(1500円)に加え、定額の一部負担金(100円程度)で合計1600円となる。

一方、保険給付額は本来は3500円だが、定額の100円分を差し引かれるため3400円になる。

 厚労省は、定額負担導入時に低所得者向けの軽減措置を講じる必要性も説明した。高額療養費制度で低所得者とされている「市町村民税非課税」を対象とした場合、対象者は約1700万人になる。

 さらに厚労省は、高額療養費制度の見直し案も併せて提案。非課税世帯ではない中低所得者の自己負担を軽減する方法として、現在の一般所得者の区分をさらに細分化し、自己負担限度額をきめ細かく設定する案を示した。また、自己負担限度額が月単位で計算されるため、年間ベースで見ればかかった医療費が同じでも、高額療養費が支給されない制度上の落とし穴があることから、自己負担限度額に年間の上限額を設けることも提案した。このほか、高額療養費の見直しは保険者ごとに影響が異なるため、個別の保険制度ごとに財政中立にする必要があるとした。山下一平委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)や横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会長)は「定額負担ありきではないが、選択肢の一つとして検討すべき」「財政の厳しさを国民に説明していくべき」と主張。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「保険料だけでは負担しきれず、こういう制度もあり得る」とした。一方、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)や岩本康志委員(東京大大学院経済学研究科教授)は「保険料率の引き上げで対応すべき」と導入に反対した。

 定額100円の断続的な引き上げを懸念する声に対しては、西辻浩保険課長が「さらなる引き上げはない。ずっと100円のままだ」と述べ、理解を求めた。(9/20MEDIFAXより)

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