保険給付範囲も含めて抜本改革を/座談会で安達氏  PDF

保険給付範囲も含めて抜本改革を/座談会で安達氏

 中医協委員を務める安達秀樹氏(京都府医師会副会長)は9月6日、MEDIFAX主催の社会保障制度改革に関する座談会で「診療報酬改定を延期し、保険の給付範囲を含めて国民皆保険制度の仕組みを根底から議論し直すべきだ」と指摘した。内閣官房社会保障改革担当室長の中村秀一氏も「中医協などで根本的に議論すべき」と理解を示した。

 座談会には、安達氏、中村氏と、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏が出席した(座談会の詳細は後日、MEDIFAX Webで掲載予定)。

 安達氏は、過去7−8年間で高額医療の占める割合が大幅に増えたことや、高齢化による受診者数の増加などを踏まえ「有効な医療技術を全て保険に含めていく現在の制度では財政破綻する」と指摘。英国NICE(医療技術評価機構)を引き合いに出し「保険給付の範囲に関する議論を国民全体で行ってほしい」と述べた。

 また、予算枠を設けられた上で2年に1度、診療報酬改定を実施しても、一部の診療報酬に加算・減算を繰り返すだけになり、抜本改革は進まないと指摘。「今回の改定では震災の影響が絶対に加わる。その点も考慮すれば、今が立ち止まって考えるチャンスだ」と述べ、「2012年の改定は延期し、4年間かけて、連日のように医療保険制度の在り方を徹底的に議論すべきだ」と主張した。

 これに対して中村氏も、自らの医療保険行政の経験を振り返りつつ「2年に1度の改定は相当、頻繁で、厚生労働省も制度の手直しで精いっぱいになる。原点に立ち返って抜本改革論議を進めるのは至難の業だ。2年に1度の改定をしながらの議論でもよいかもしれないが、中医協や、中医協が委託した場で根本的に議論する必要がある」と述べた。

●定額負担は「徹底的に潰す」
 安達氏は、受診時定額負担制について「とんでもない話」とし、医師会の総力を挙げて「徹底的に潰す」と意気込んだ。「皆保険制度は加入者全員で支えるのが基本理念。なぜ受診者だけで払わなければならないのか」と疑問を呈した。

 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について安達氏は「賛成」とした。小泉政権は非正規雇用者の拡大を推進したにもかかわらず、社会保険に手を付けなかったとし「現政権下で残務整理をしているようなもの」と評した。(9/7MEDIFAXより)

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