保険医取り消し二審も違法/国側の控訴を棄却
対面での診察をせずに診療報酬を請求したことを理由に保険医登録などを取り消された甲府市の小児科医院「みぞべこどもクリニック」の溝部達子院長が、国の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は5月31日、請求を認めた一審甲府地裁判決を支持、国側の控訴を棄却した。
園尾隆司裁判長は「保険医登録取り消しなどは事実上、医療機関の廃止を意味する極めて重大な不利益処分。動機や事情を考慮しなければならない」と指摘。
院長の行為を「保険診療上は許されないが、患者のための行為だった」と判断して「処分は社会通念上、著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱し違法」とした2010年3月の一審判決を踏襲した。
判決によると、溝部院長は、患者本人ではなく家族に病状を聞いて薬を処方するなどして診療報酬を不正請求したとして、05年11月、山梨社会保険事務局(現関東信越厚生局山梨事務所)から保険医療機関指定と保険医の登録取り消し処分を受けた。
厚生労働省保険局は「厳しい判決と受け止めている。内容を精査の上、今後の対応を決めたい」としている。(6/1MEDIFAXより)