保険医取り消しは違法/「裁量権逸脱」と甲府地裁  PDF

保険医取り消しは違法/「裁量権逸脱」と甲府地裁

 非対面診療を理由に社会保険事務局から保険医の登録を取り消された甲府市の医師溝部達子さん(54)が、国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、甲府地裁(太田武聖裁判長)は3月31日、「裁量権の範囲を逸脱しており違法」として、処分を取り消した。

 判決によると、溝部さんは2005年1月ごろ、非対面診療の診療報酬を請求したことについて山梨社会保険事務局(現関東信越厚生局山梨事務所)から指導を受け、「実際には診療しておらず、不正な請求」として05年11月、保険医療機関指定と保険医の登録取り消し処分を受けた。

 判決理由で太田裁判長は、溝部さんの非対面診療を「保険診療上、許容されない」としたが、「再登録は原則5年間できず、取り消し処分は社会通念上、著しく妥当性を欠くことが明らか」と指摘した。

 判決後、溝部さんは「保険医療の指導・監査には、明確で合理的な基準がなく、多くの医療事業者が基準を作ってほしいと思っている。皆さんに現状を知って、考えてもらいたい」と話した。(4/2MEDIFAXより)

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