保団連が病院・有床診セミナーを開催

保団連が病院・有床診セミナーを開催

「連携」によりその存在意義は再認識される!

武久洋三氏が講演
武久洋三氏が講演

 保団連は、8月22・23の両日、今年で第27回目となる病院・有床診療所セミナーを、兵庫県保険医協会会議室等を会場に開催。全国から104人が参加した。

 始めに保団連病院有床診対策部会の小島修司部長が基調提案を行った。「療養病床削減に関する影響調査」等この1年の取り組みと、医療費適正化計画における療養病床数が約22万床に変更されるなど一定の結果が出ていること、有床診については「新しい有床診療所の在り方」をまとめたことなどを紹介。今後も病院や有床診療所が抱える問題解決実現に向けて取り組みを行っていくと述べた。

 続いて、「療養病床をめぐる現状と、中小病院や有床診療所が地域医療に果たすべき課題と今後の展望」をテーマに、日本慢性期医療協会の武久洋三会長が講演。有床診療所にとっては今が最大のチャンスである。病院は様々な規制がある。有床診をベースに周りに居住系施設を作って、在宅医療を行っていくべき。現在の療養病床等慢性期病床は、「在宅支援診療所支援病院」として、高度急性期病院へのミスマッチングな患者を受担するとともに、在宅医療の後方支援病院となるべき。連携がポイントとなる。しかし病院、施設、居住系施設を含めてその絶対数が足りない。慢性期病床はもっと評価されるべきである―などと述べた。

“社会保障予算は本当にとれないのか”で講演も

 2日目は、神戸女学院大学の石川康宏教授が「社会保障予算は本当にとれないのか」をテーマに講演。日本は、世界第2位の経済大国と言われながら、国民全体が貧困に陥っている。その一方で、資本金10億円以上の企業は経常利益及び内部留保が増大を続け、富と貧困の対立が起こっている。本当の財政再建の道は、(1)収支の帳尻合わせを急がない、(2)低くなりすぎた法人税率や所得税の最高税率を引き上げる、(3)軍事費や公共事業費の節約による支出削減、(4)景気回復による税収増=庶民生活の激励。市民が笑顔でお金を遣える社会にし、経済規模を拡大する必要がある。これからは、/財界にものが言える/政治が必要となる―などと述べた。

分科会では実際の取り組み事例が報告

 さらに、「がんばろう中小病院・有床診療所」と題した病院・有床診の各分科会を開催した。

 病院分科会では、病院運営の根幹となる「基本方針」を職員全員から募集・集約。プロジェクト編成を行い実現させていく取り組み、プレホスピタルレコードを導入し、救急搬入前に救急隊に記入してもらい、搬送先の選択に役立てられている事例、「脳卒中地域連携ネットワーク」の実際と課題―などが報告された。

 有床診療所分科会では、地域での連携を軸として在宅医療への取り組み、重症患者の転院先確保や高齢者の長期入院などの問題を抱えながらも、看護師の質の向上やカルテ記載の簡略化等の工夫を行っていること、医師と看護師の連携で在宅看取り(ホスピス・緩和ケア)を増やす取り組み、地域に根差した医療(かかりつけ医)を目指し、標榜科目以外の疾患の患者も受け入れながらも効率的な業務を追求し努力していること―などが報告。開業当時(32年前)と比べ、診療内容の変化、経営面も変化させているが、経営状況は極めて厳しいと、診療報酬上の評価があまりに低いという切実な訴えもあった。

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