保団連 病院・有床診セミナーを開催

保団連 病院・有床診セミナーを開催

本田宏氏が公開記念講演

 保団連は、8月23、24日の両日、今年で26回目となる「病院・有床診療所セミナー」を開催。全国から113人が参加した。セミナー冒頭、保団連病院有床診対策部の小島修司部長より、2008年診療報酬改定の特徴点と影響、政府・財界が考える医療・介護の方向、保団連の取組みと今後の対策等についての基調提案が行われた。

 引き続き、保団連発行『病院・有床診療所の病床転換の留意点』をテキストに、介護療養型病床の転換先を考える学習会を開催。2日目には、病院と有床診療所の各分科会に分かれて、それぞれが抱える問題等について討議、意見交換した。最後には、済生会栗橋病院副院長で、医療制度研究会副理事長の本田宏氏より「医療崩壊の現状と、医師不足・医療崩壊を食い止める処方箋」のテーマで、公開記念講演が行われた。(詳細は下記)

富国強経から豊国幸民の国へ 医療人と国民は大同団結を

本田 宏氏
済生会栗橋病院副院長 本田 宏氏

 日本の医療崩壊の3大原因は、(1)低医療費政策、(2)医師不足、(3)情報操作―にある。日本は世界の経済大国だったが、医療費は先進国中最低、逆に国民自己負担は世界最高、さらに薬剤や医療機器は世界一高い。団塊世代の高齢化で爆発的医療需要増大は必至で、日本の総医療費をGDP11―12%に増加しなければ大量の医療難民が発生する。

 政治家や財界人にこの理不尽な構図が正しく認識されてこなかったために、後期高齢者をはじめさらなる負担が押し付けられている。これは、周囲の官僚が誤った情報を流し、ミスリードしているからだ。“官尊民卑”の政策である。国民がこの事実を認識して行動を起こさなければ何も変わらない。

 国の誤った医療費抑制策に、医療人と国民が大同団結すべき。日本の医師不足の原因は偏在ではなく絶対数不足。日本の医師は過酷な労働条件下にある。日本の勤務医は1人何役も余儀なくされる。(1)知識、(2)技術、(3)心(赤ひげ)、(4)説明、(5)精神性、(6)ユーモア、(7)リーダー(指揮)、(8)指導・教育、(9)気力・体力、(10)収入(生涯賃金は大企業のサラリーマン以下)、(11)定年なし。労働基準法無視の過重労働に1人何役、加えて刑事罰…これが“立ち去り型サボタージュ”の真因ではないか。医師の大幅増員とコメディカル増員が真の安全向上と医療崩壊阻止の処方箋である。医療は雇用増進・地域活性化にも貢献できる。超高齢化を目前に発想の転換が求められる。

 患者さんの意識はメディア報道に影響される傾向が強く、医療崩壊阻止には医療現場の真実を訴える努力が不可欠である。“情報操作”に騙されてはいけない。国は、公共事業費が減少、社会保障費は増加との誤った情報を流してでも道路財源を確保したい思惑がある。これも“官尊民卑”である。

 日本では所得が10億円を超えるような大金持ちでも、国保保険料負担は上限60万円。応能負担の原則適応の余地がある。国民負担率にも“官尊民卑”が生じている。

 人は誰しも幸せでありたいが、自分だけよければそれでよいのか。“ともに生きる価値観の危機”に直面している。人の「四苦」は生・老・病・死であり、富国強経から豊国幸民の国へ再構築しなければならない。日本・世界を生まれてよかったと誇れる社会にして未来に渡すことが、人としての良心・社会的責任である。

 日本の医療は非常事態。正しい情報なしでは医療崩壊は加速の一途を辿り、このままでは医療ばかりか日本が崩壊する。医療崩壊を食い止めるのは国民みんなの社会的責任である。Don,t ever give up for patient. Don,t ever give up for Japan & World. 医療崩壊阻止は超党派で行うべきであり、マニフェスト選挙を推進すべきである。政権交代して国のあり方を変えるべき(騙されるのは1回でよい)。

 加速せよ! 医師増員。止めよう! 医療崩壊。

地域医療の再生を求める請願署名にご協力を!

 本田宏氏らが呼びかけている「加速せよ!医師増員 止めよう!医療崩壊 地域医療の再生を求める医師・医学生の請願署名」にご協力下さい。用紙は9月中旬発送の「メディパック」にて全会員に送付。同封の返信封筒で至急ご返送下さい。

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