保団連 山口県・上関原発建設予定地を視察
参加者で建設中止求めアピール
11月6〜7日の日程で保団連公害視察会が開催され、原子力発電所の建設のための海上埋立工事が始まろうとしている山口県上関町を視察。全国から医師・歯科医師ら36人、京都協会からは、飯田哲夫理事と事務局が参加した。
1日目には「上関における生物多様性の保護の必要性」と題して、安渓遊地氏(山口県立大学教授)、安渓貴子氏(山口県立大学講師)が記念講演。原子力発電所建設を進めることを前提として作った環境影響評価書(講演ではアセスメントならぬアワセメントだと紹介)が大変ずさんな内容であったことを受けて、手弁当で現地調査を続けてきたことや、その結果を受けて日本生態学会・日本ベントス(底生生物)学会・日本鳥学会が公式に原子力発電所計画に異議申し立てを行ってきたことを紹介。調査の結果、明らかとなった瀬戸内海最高の生物多様性ホットスポットである周防灘の保全を訴えた。
続いて、長島の自然を守る会代表の高島美登里氏が「上関原発計画に反対する住民運動と長島の自然を守る会」と題して特別報告を行い、独自にスナメリ、カンムリウミスズメ、カラスバト、ナメクジウオ、オオミズナギドリ、スギモク、カサシャミセン、ヤシマイシン近似種などの生息を確認。長島・上関周辺の生物多様性の全容が解明され、絶滅に瀕した生き物が棲む瀬戸内最後の楽園が、この原発建設予定地の田ノ浦とその周辺海域であることを紹介した。
最後に「上関原子力発電所の建設中止を求める」アピールを参加者一同で採択した。
2日目は、現在約500人の島民の内約9割が計画に反対していて、原発建設予定地の田ノ浦の正面3・5kmに位置する祝島に渡り、現地の方から話を聞いた。お話を伺ったのは、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」事務局長の清水敏保氏と事務局次長の山戸孝氏のお二人。清水氏、山戸氏は、28年にも及ぶ今日までの反対運動の経過について説明、毎週月曜日の夜に行っている島内デモは1079回に達していることを紹介した。また、それと並行して、漁業補償金の受け取りを拒否しながら、いかにして原発に頼らずに経済的に自立して生活を成り立たせるか、また高齢化率75%という高齢過疎の島で、いかにみなで支え合っていくか、全員で協力しながら歩んでいる島の生活を紹介した。
視察会後の11月20日に、祝島島民の生活と原発反対運動を描いたドキュメンタリー映画『祝の島』上映会が花園大学で行われ、飯田理事が視察会の報告を行うとともに、原発の問題点について訴えた。
説明を受ける参加者