佐村河内守交響曲第一番 HIROSHIMA 京都コンサートホールを1600の聴衆が埋尽す  PDF

佐村河内守交響曲第一番 HIROSHIMA
京都コンサートホールを1600の聴衆が埋尽す

 IPPNW京都府支部(反核京都医師の会)も参加した、市民による「佐村河内守交響曲第一番演奏会 核兵器のない世界を子どもたちにプロジェクト」が主催する「佐村河内守交響曲第一番 HIROSHIMA演奏会」が8月14日、左京区の京都コンサートホールで開催され、満席の1600人の聴衆で大成功した。

 作曲者の佐村河内守(さむらごうち・まもる)氏は、1963年、被爆二世として広島に生まれた。ゲームソフト「鬼武者」「バイオハザード」等の作曲者としても知られる。氏は1998年、35歳で聴力を失い全聾となる。音楽家として致命的な障害を負いながらも、絶対音感のみによる記譜で作曲し、2003年に交響曲第一番を完成させた。2008年、交響曲は広島でのG8議長サミット記念コンサートで抜粋演奏され、注目を集めた。今回の演奏会では指揮・秋山和慶、演奏・京都市交響楽団により第三楽章まで全曲演奏が初めて実現したもの。演奏会には秋葉忠利広島市長、門川大作京都市長も出席した。

 演奏会は「核兵器のない世界を子どもたちに」残すため、芸術作品を通じて広くそのメッセージを伝えようとしたもの。プロジェクトに加盟した反核京都医師の会は、昨年来、秋葉忠利広島市長を招聘した講演会を成功させる等、他の市民団体と共同しての積極的な活動を進めてきた。今年5月のNPT(核拡散防止条約)再検討会議では、初めて「核兵器廃絶条約」に言及した合意がなされ、秋葉忠利広島市長がアジアのノーベル賞と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞、潘基文国連事務総長が国際社会に核兵器廃絶を呼びかける新たな状況の下、国レベルの動きに留まらず、1人1人の市民が核兵器のない世界を自らの問題として希求することが求められている。

 演奏終了後の多くの聴衆の拍手と涙、会場に設置した「ミニ原爆展」に多くの人々が足を止めて見入っていた姿、そして、当日の感想文に寄せられた多くの言葉「音楽はひととひとの心をつなぎます。平和がすべての人にもたされんことを」…が、今回の演奏会が放ったメッセージが人々の心に浸みわたったことを示している。

 演奏会のラストに、佐村河内氏自身も登場し、花束を贈った子どもたちとともに次のように語った。「障害によるわたしの苦しみと被爆者の苦しみとを重ねて思いながら作曲しました。この曲が、核兵器のない世界の実現に向けた1歩になればと思っています」

演奏会終了後に挨拶を交わす反核京都医師の会・高木隆郎代表世話人と佐村河内守氏(左)
演奏会終了後に挨拶を交わす反核京都医師の会・高木隆郎代表世話人と佐村河内守氏(左)

ページの先頭へ