伏見で健康相談会が開催 原発事故避難者を対象に  PDF

伏見で健康相談会が開催 原発事故避難者を対象に

 東日本大震災および福島第一原発事故を契機に、京都へ避難した人を対象にした「避難者こども健康相談会きょうと」が6月16日、伏見区役所で開催された。

 主催は、放射能測定を独自に行っている「京都・市民放射能測定所」や福島県からの避難者が中心となって結成した実行委員会。京都や大阪の小児科医の有志らが協力した。

 健康相談コーナーには、15家族が訪れ、それぞれの健康不安について小児科医がアドバイスを行ったほか、受診が必要な場合は適切な医療機関を紹介した。協力医は、京都・大阪を中心に10人。

 そのほか、法律相談、教育相談のブースや、くつろいでもらうためのアロマハンドマッサージなども設けた。

 午後から行われた講演会では、市民放射能測定所・岩田渉理事が、福島県の放射線濃度の現状について、さらに、福島県や関東圏から避難された方が、それぞれの避難を決意した背景や、今の生活などについて述べた。

 また、医療問題研究会の高松勇氏(小児科医)が、福島県「県民健康調査」結果について講演。2012・13年度に計27例もの小児甲状腺がんが発生したことを問題視。相対的低線量地域と思われていた地域での甲状腺がんの多発は、今後爆発的に小児の甲状腺がんが増える可能性が高いことを指摘した。また、津田敏秀氏(岡山大学教授・環境疫学) も、現状は多発(疾患のアウトブレイク)の状況であり、数年後からのさらなる多発とその際の医療体制の重要性を指摘していることを紹介した。そして、今後起こり得る健康被害について、現状の医療提供体制では対応できないため、特に子どもの甲状腺がん治療のための提供体制の早期構築の必要性を訴えた。

 また、苦渋の選択で避難した地で、生活上の困難やさまざまな不安に立ち向かっている参加者を力づけた。

 そして、今後、さまざまな疾病と東電福島第一原子力発電所事故との因果関係をはっきりさせる必要があるため、自治体との連携を訴えた。

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