代議員月例アンケート(88)
介護保険の改定について
対象者=代議員92人 回答数39(回答率=42%)
調査期間=2015年5月27日〜6月12日
全体の改定率がマイナス2・27%と9年ぶりの引き下げとなった2015年度介護報酬改定。高齢者への医療や介護を手掛ける医療機関にとって、その影響は決して小さくない。介護サービス施設・事業所の経営が厳しくなる中で、介護職員以外の従事者も含めた処遇改善が後退することへの懸念も広がっている。また、「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」を目的とした介護保険制度の改定が2015年4月以降順次施行される。地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実や低所得者の保険料の軽減割合を拡大するなど「充実」の一方で、「重点化・効率化」により以下のような給付の縮小や負担増が図られている。㈰要支援1、2の予防給付(通所介護と訪問介護)を対象外にし、市町村の地域支援事業に移行(2015〜17年度)㈪特別養護老人ホームの新規入所者を、原則要介護3以上に限定(4月〜)㈫低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」要件に資産等を追加(4月〜)㈬一定以上所得者の自己負担を2割に引上げ(8月〜)。
マイナス改定に4割強が「反対」
介護報酬のマイナス2・27%という改定率については、「反対」が43・6%、「仕方ない」が38・5%、「当然」も5・1%あった。(図1)
これを介護保険取り扱いの有無でみると、「取扱い」13人のうち8人が「反対」、4人が「仕方ない」。「取扱いなし」26人のうち、9人が「反対」、11人が「仕方ない」と答え、取扱いの有無で差違が顕れた。
要支援の給付除外に半数が「不安」
要支援1、2の予防給付(通所介護と訪問介護)を給付対象外にし、新たな受け皿を各市町村の地域支援事業とすることについては、「不安」が56・4%と半数を超えた。(図2)
地区医の「決意」と「重荷」が拮抗
在宅医療・介護の連携推進については、介護保険法の地域支援事業に位置づけ、地域の医師会等を主体に「在宅医療連携拠点機能」を設けて取り組むこととされている(15年4月〜17年4月)ことについて、「重荷すぎる」41・0%と「やるしかない」38・5%が拮抗した。(図3)
介護2割化「負担重過ぎ」が半数
8月からの介護保険自己負担2割化については、「負担が重過ぎる」が48・7%、「仕方がない」が35・9%、「適当」は2・6%だった。(図4)
これも介護保険取り扱いの有無でみると、「取扱い」13人のうち、9人が「負担が重過ぎる」、4人が「仕方がない」。「取扱いなし」26人のうち、「負担が重過ぎる」と「仕方がない」がないが10人で並んだ。
電子請求義務化に対し「紙残すべき」
介護給付費等の請求については、現在、伝送、電子媒体および紙媒体だが、2018年には原則電子請求が義務化される。また、インターネット回線の場合、回線基本料のほか電子証明書発行手数料に3年間で13200円(年4400円)が必要とされることになる。これに対し、「電子媒体のみ」でよしとするのが38・5%、「紙請求残すべき」が41・0%とほぼ並んだ。(図5)
介護保険を取り扱っているところでは「紙請求残すべき」(8人)が「電子媒体のみ」(3人)を上回ったが、取り扱っていないところでは「電子媒体のみ」(13人)が「紙請求残すべき」(7人)を上回った。当事者かそうでないかによる差異が明らかとなった。