代議員月例アンケート(87)  PDF

代議員月例アンケート(87)

難病医療、小児慢性特定疾病医療について
対象者=代議員92人、回答数=27人(回答率=29%)
調査期間=2015年3月31日〜4月13日

 2015年1月1日より、難病医療と小児慢性特定疾病医療が大きく改定された。主な変更点は、(1)指定医制度の導入(指定医への専門医要件の導入等)(2)(難病医療のみ)協力指定医制度の導入(3)指定医、指定医療機関の更新制の導入(4)患者一部負担金の改定(5)自己負担上限額管理票の導入(6)調剤薬局、訪問看護ステーションでの自己負担徴収㈯入院時食事療養費の自己負担徴収 等である。この制度変更を受けて、窓口でのトラブルや困ったことがなかったかを中心に、意見を訊いた。

自己負担上限額管理票運用めぐり混乱

 まず、難病法による特定医療について質問した。
 難病指定医あるいは協力難病指定医かを質問したところ、「難病指定医」7人26%、「協力難病指定医」10人37%、「どちらともちがう」10人37%であった。(図1)
 「難病指定医」と答えた7人に、「指定を受けるにあたり、困ったことはなかったか」と質問したところ、「特にない」6人、無回答1人であった。
 また、指定医の要件に「関係学会の専門医資格を有している」または「知事が実施する研修を終了している」が追加されたが、どう思うかを質問したところ、「専門医資格要件は必要」71%、「不要」14%、「分からない」14%であった。(図2)
 「協力難病指定医」と答えた10人に、協力難病指定医は「患者の新規の認定の際に必要な診断書の作成」ができないが、どう思うかを質問したところ、「指定医制度と協力指定医制度の区別は必要」40%、「指定医の専門医資格要件は不要、協力指定医制度を廃止して全員指定医にすべき」30%、「分からない」20%、無回答10%であった。(図3)
 全員に医療機関が「難病法による特定医療」の指定医療機関かどうかを質問したところ、「いいえ」15人56%、「はい」12人44%であった。(図4)
 指定医療機関である回答者12人に、「指定を受けるにあたり、困ったことはなかったか」を質問したところ、「特にない」11人、「あった」1人であった。困りごとの内容は、「多岐にわたる分野の疾患であり、どこまで対応できるか分からないが、現在の患者を守るためには取らざるをえない」とのことであった。
 また、「患者負担に関して自己負担上限額管理票により管理することになったが、困ったことはなかったか」を質問したところ、「あった」50%、「特にない」50%であった。(図5)
 困りごとの具体的な内容としては、会員からの電話照会で寄せられていた「患者が管理票を提示してくれなかったため、混乱した」「在宅医療では月1回まとめて自己負担をもらっていたため、混乱した」「連携薬局、訪問看護ステーションが一部負担金徴収が必要なことを理解していなかった」という例に加え、「患者、家族も制度をよく理解していないため、会計で混乱した」「手間がかかる」「日付順での細かなチェックが大変。当院以外薬局などもあり、大変めんどう」等が寄せられた。
 全員に、その他困ったことや、改善すべき点がないかを質問したところ、「公的機関より診断書料を無料にするように勧告された」「自己負担上限額管理票を持ってこないと、他医療機関でどこまで負担したのか分からない」「昨年までの状況に戻すべき」「法別番号41を持っている場合、会計処理が煩雑になる」等が寄せられた。なお、京都府に照会したところ、「診断書の料金は、従来通り各医療機関で設定、自費徴収できる」との回答であった。
 小児慢性特定疾病医療についても質問したが、回答者に指定医、指定医療機関の方がおらず、困りごとに対する自由意見もなかった。

アンケート結果に基づき府に改善要請

 今回のアンケート結果を資料的価値のあるものとするためには、京都府等が公表している指定医、協力指定医、指定医療機関等に協力を求めるべきであった。回収率、結果とともに反省の残る内容となった。
 しかし、協会事務局に寄せられた電話照会でもそうだが、新たに導入された自己負担上限額管理票の運用をめぐり、窓口が混乱していることは確かであり、本アンケートでも実例が寄せられた。協会は、本アンケート結果に基づき、京都府に対して管理票の運用に関して改善を要請、懇談することにしている。

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