代議員月例アンケート(73)
生活保護問題について
対象者=京都府保険医協会代議員95人 回答数22(回答率23%)
調査期間=2013年4月26日〜5月7日
引き下げありきでなく根本的解決を
政府は生活保護の大幅な見直しに乗り出している。「生活扶助」とよばれる日常生活に必要な費用の給付水準を引き下げるなど3年間で740億円削減し、「医療扶助」については後発医薬品「原則化」や医療機関への指導強化等を打ち出している。マスコミの論調はいきすぎた抑制に懸念を示すものがある一方、一部の不正について取り上げ批判を強めるものもある。不正受給は全体の0・4%という水準といわれているが、住民による監視を定めた条例を施行する自治体(兵庫県小野市)まででてきている。こうした問題について代議員の意見をきいた。
基準引き下げに否定的意見が多数
生活扶助基準引き下げは、一般低所得世帯の消費支出よりも扶助基準が上回っていることを根拠にしている。本当は生活保護を受けてしかるべき人たちが受けられていない状態を放置し、そうした最も低い世帯を比較対象としたものであること。さらにデフレを根拠に持ち出してきた引き下げも、保護受給世帯の消費実態を正確に捉えていないと指摘されている。しかも基準引き下げの影響は、保険料減免、最低賃金、就学援助などさまざまな低所得者対策に連動するため、貧困の連鎖を進行させてしまう懸念がある。
こうした今回の基準引き下げについて複数回答できいたところ、(1)「引き下げありきでなく根本的解決策が必要」が50%、(2)「健康で文化的な最低限度の生活保障を脅かす引き下げはすべきでない」36%と引き下げに否定的意見が多いが、(3)「税金でみているのである程度我慢すべき」との意見も36%となった。
受給者を医療で区別することはない
「医療扶助」は、生活保護費の約半分を占めることから「適正化」の対象とされ、その中で生活保護受給者に対する後発医薬品使用が「原則化」された。
これについては、「原則化しようとしまいと受給者を医療で区別するようなことはしない」が60%、一方で「原則化は必要」という声も18%あった。「その他」の回答では「後発品のある種の薬剤は効果が不十分では?と疑わせるような事例があったので信頼性に欠ける」といった意見もあった。
人権を尊重した指導のあり方を望む
指定医療機関への指導強化が図られる中、京都市では生活保護の不正受給に対応して適正化推進担当を設置し、医療保険並みの個別指導を12年より始めている。
こうした指定医療機関への指導強化について複数回答できいたところ、「不正が疑われるなら厳しい指導も仕方ない」50%に対して「医療扶助費の抑制ありきで指導を強化するのはおかしい」が27%となり、「医師、患者の人権を踏みにじるような指導等が行われないよう望む」も50%となった。