仕分け判定に怒り、あきれ…中医協総会  PDF

仕分け判定に怒り、あきれ…中医協総会

 偏った資料提示に、短時間で出される乱暴な結論─。中医協の審議内容を無視するかのような強引な手法で本体改定率「据え置き・抑制」の判定結果を出した政府・提言型政策仕分けに、プラス改定に慎重姿勢を取る支払い側委員からさえも非難の声が上がった。12月2日に開かれた中医協総会で、白川修二委員(健保連専務理事)は仕分け結果に「怒り狂っている」と発言。さらに「(仕分け結果の)中身を議論しても何も生まれない。中医協としては、こんな意見があったという程度に拝聴し、次回改定以降に反映する“ふりをする”“努力する”のではどうか」とまくし立てた。

 改定率決定を間近に控え、プラス改定を求める診療側と、それを阻止したい支払い側のつばぜり合いが続いているが、11月22日に出された政策仕分けの結論に対しては、言葉の鋭さに差はあるものの中医協委員全員が痛烈に非難した格好だ。

 安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「診療報酬の議論をするのには圧倒的に資料が不足し、偏っている。わずか4時間弱の審議で提言できるものなのか」と指摘。さらに「まさか仕分け人は、ネットと本体の違いを分からずに判断したのではないでしょうね」と皮肉った。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)も判定結果について「読むに値しない。無視したいくらいの思い」とあきれた。

 公益委員では、牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)が「資料として参考にする」程度にとどめるべきと主張。薬価政策について「先発品と後発品の差額の一部を自己負担にすることを検討」などとする仕分け結果が出たことを踏まえ、薬価専門部会長を務める西村万里子委員(明治学院大法学部教授)は「“大胆な”手法が提示された」と慎重にコメント。「すぐに実現できるものがあるか、手法が適しているかどうかも含めて議論しなければならない」と述べ、薬価専門部会で審議する考えを示した。

 北村光一委員(経団連・社会保障委員会医療改革部会部会長代理)は冷静に「社会保障審議会の基本方針に基づき、診療報酬面で中医協の対応を議論すべき」と主張した。

 厚生労働省保険局の鈴木康裕医療課長は「もし実際に診療科目間で収支に差があるのならばきちんと対応すべきだが、刷新会議の資料はかなり限定されたデータだ。参考にはするが、これですぐさま評価するわけではない」とし、政策仕分けの指摘内容を「大枠として受け止め」、具体的な内容は「中医協の議論を踏まえて詰めていく」とまとめた。

 森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)は最後に「政治学の立場から言えば刷新会議の取りまとめに法的効力は全くない。だが事実上は社会的に受け入れられており、公的権限を持つ厚労相も重く受け止めている。そうならないようにするために中医協としてきちんとしたメッセージを発する必要があると思う」と述べた。公益委員が作成している小宮山洋子厚労相宛ての意見書案を後日審議し、中医協委員の意見を反映したい考え。(12/5MEDIFAXより)

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