介護3施設、人件費増で利益が減少/08年介護経営実態調査

介護3施設、人件費増で利益が減少/08年介護経営実態調査

 厚生労働省は2008年介護事業経営実態調査の結果をまとめ、10月1日の自民党介護委員会に提示した。08年の介護老人保健施設など介護3施設の収支差率は05年の前回調査と比べていずれも悪化した。一方、看護職員や介護職員などの1人当たり給与費は介護3施設ともに4−6%増加した。厚労省老健局は「人件費の伸びで支出が増加したことが、収支差率の低下につながった」と分析している。調査結果は3日の社会保障審議会介護給付費分科会に報告し、09年度介護報酬改定の基礎資料とする。

 調査は08年3月の1カ月間の介護サービス収支状況を調べた。介護3施設の収支差率は特別養護老人ホーム3.4% (前回調査13.6%)、介護老人保健施設7.3% (同12.3%)、介護療養型医療施設3.2% (同3.4%) で、いずれも前回より落ち込んだ。ただ認知症グループホームは9.7% (同7.6%) で収支差率が上がった。

 常勤看護・介護職員1人当たりの給与は、特養31万5891円(前回調査比6%増)、老健30万7932円(同4%増)、介護療養型医療施設30万9888円(同4%増)。利用者1人当たりの支出(1日当たり) は、特養1万591円(前回調査9784円)、老健1万1357円(同1万974円)、介護療養型医療施設1万5942円(同1万5934円) でいずれも増加した。

 在宅系サービスを見ると、訪問介護(介護予防含む) の収支差率は0.7% (前回調査0.0%) で前回より上昇した。訪問介護は職員給与も2%上昇しているが、職員1人当たりの訪問回数は93.7回(同78.7回) で増加しており、訪問回数の増加が収益改善につながっているとみられる。

 一方、訪問看護(介護予防含む) の収支差率は2.7% (同5.8%)、通所リハビリが4.5% (同18.9%) など5サービスで収支差率が減少。06年介護保険改正で創設された小規模多機能型居宅介護の収支差率はマイナス8.0%、居宅介護支援はマイナス17.0%で特に経営状況が悪かった。(10/2MEDIFAXより)

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