介護職の口腔内吸引・経管栄養でモデル事業/厚労省・特養検討会  PDF

介護職の口腔内吸引・経管栄養でモデル事業/厚労省・特養検討会

 厚生労働省は、介護職員が口腔内吸引と経管栄養を実施するモデル事業を行う方針を決め、6月10日の「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」に提示した。介護職員による医行為の「解禁」を視野に、ガイドラインづくりと施設内研修の在り方を検討する。厚労省はモデル事業を年内に行い、2010年度には特養全体での実施を目指す考えだ。

 厚労省が示した「たたき台」によると、モデル事業は(1)看護職員と介護職員が連携してケアを行う場合の研修内容とケア実施ガイドラインの検討(2)施設内研修のための指導者養成研修の実施(3)施設内研修・連携ケアのモデル実施(4)モデル実施に関する調査・検証―などが柱。事前に有識者による検討委員会を設置し、モデル事業での業務指針を策定し、対象施設への研修を実施するとしている。

 介護職員が実施できる範囲は、口腔内吸引は(1)必要な物品準備など実施準備(2)対象者への吸引の説明と環境整備、口腔内観察、吸引の実施(3)対象者の状態観察、ケア責任者(看護職員)への報告(4)吸引びんの排液を捨てるなど片付け(5)評価記録。一方、経管栄養(経鼻経管栄養と胃ろうによる栄養管理)では、実施ケアのうち「流動物の確認やチューブの接続と注入、注入直後の状態観察など」は実施できないが、(1)注入中の状態を定期的に観察(2)注入終了後、30-50mLの白湯などを注入し、頭部を挙上した状態を保つ―ことはできるとした。これらはいずれも「医行為」の範囲で、現行法では介護職員は実施できない。モデル事業では、看護職員がいない場合でも、情報共有や連絡相談体制がとれていれば、介護職員が単独で行えるようにする方針だ。

 同日は日本介護福祉士会が行った「特養での介護福祉士らの吸引、経管栄養の実施状況」に関する調査結果の報告もあった。調査は5月30日-6月8日に実施し、1102人から回答を得た。口腔内吸引は「午後5時半-午前8時半まで」では7割以上が「介護職も対応している」と回答。鼻腔内吸引は「午前6時-午前8時半」では43.0%が介護職も対応していた。胃ろうも各時間帯で介護職も対応しており、「午前6時-午前8時半」の58.1%が最も多かった。吸引を実際に行っている人の中で「不安を感じる」とした割合は83.8%に上った。

 一方、全国老人福祉施設協議会が行った研究事業では、口腔内吸引について看護職の90.7%、介護職の77.6%が「介護職員の職務範囲とすることに賛成」と回答。経鼻経管栄養の管理でも看護職の40.7%、介護職の34.9%が賛成と答えた。(6/11MEDIFAXより)

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