介護職の半数が医療行為/人手不足で、八戸大調査
施設の介護職やホームヘルパー計約200人を対象に八戸大の篠崎良勝准教授が実施した2007年調査で、インスリン注射など本来認められていない医療行為をしたと答えた人が47%と、約半数に上ったことが5月13日までに、分かった。
人手不足が深刻化する中、研修も受けないまま、現場では事故の不安を抱えながら、医療行為をやらざるを得ない実態が浮かぶ。
厚生労働省が通知で介護職に認めている主な医療行為は、血圧測定や専門的な技術を必要としないガーゼの交換、軟こうの塗布、点眼、薬の内服など一部に限られる。インスリン注射などの医療行為は原則として認められていない。
47%が経験したという医療行為は、一部を除き大部分が認められていないものばかり。このうち在宅で最も多かったのは褥創(床ずれ)部のガーゼ交換(28%)。施設では、たんの吸引(30%)、インスリン注射(20%)、点滴の抜針(20%)などが目立った。
理由について、在宅では「利用者の依頼」(18%)、「家族の依頼」(17%)が多く、施設では「看護師の指示」(41%)が際立つ。
篠崎氏は「01年の調査に比べて、施設ではインスリン注射は2.9倍、点滴の抜針は2.2倍になるなど増加。医療依存度の高い人が着実に増えており、介護施設が病院に近づいている」と分析している。
調査は07年6−9月、全国のホームヘルパー163人、施設職員74人の計237人から回答を得た。【共同】(5/15MEDIFAXより)