介護福祉士までの研修一本化へ/厚労省検討会で議論開始  PDF

介護福祉士までの研修一本化へ/厚労省検討会で議論開始

 団塊世代が75歳以上となり高齢化がピークを迎える2025年には、現在の倍程度の255万人が必要とされる介護職員。介護サービスの質と量を確保していくため、より良い介護人材の養成体系を見直す議論が厚生労働省の「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」(座長=駒村康平・慶応大経済学部教授)で本格的に始まった。厚労省が10年12月に示した介護人材の養成体系の見直し案では、介護福祉士国家試験の受験要件として15年度から定める予定の「実務者研修(仮、前呼称=6カ月研修)」と介護職員基礎研修、ホームヘルパー1級研修の一本化を検討すべきとしたほか、介護福祉士の上級職として「認定介護福祉士(仮)」を位置付けることも検討課題とした。介護職の資格取得を簡素化した上で、働きながらでもステップアップできる明確なキャリアラダーをつくり、介護職の賃金体系などを整備して優秀な人材を確保するのが狙いだ。

 厚労省が示した案では、ホームヘルパー2級相当の研修を「介護職員として導入的な研修(初任者研修)」として位置付け、ホームヘルパー1級は12年度をめどに介護職員基礎研修と一本化する。その上でさらに、介護職員基礎研修を、介護福祉士国家試験の受験要件として導入が検討されている実務者研修と一本化することも提案。初任者研修は働きながら学ぶことが想定されているため、介護福祉士資格取得までの研修・試験体制を一本化できれば、介護福祉士の上級職として検討されている認定介護福祉士などの位置付けが明確になるとした。

●低い資格取得率
 厚労省がこうした提案をする背景の1つとして、介護職員の介護福祉士資格取得率の低さが挙げられる。介護福祉士資格取得状況を勤続年数別に見たデータでは、取得率が最も多かったのは勤続15年以上20年未満の53.5%。勤続10年以上15年未満で51.0%、5年以上10年未満でも39.6%と、介護職員として勤続年数が長くなるほど介護福祉士取得率が高いが、それでも約半数にとどまっているという現状がある。

 介護職員の平均年齢の高さと勤続年数の短さも指摘されている。平均年齢では特にホームヘルパーが高く、09年の賃金構造基本統計調査(常勤・男女計)によると、全産業平均が41.1歳だったのに対し、ホームヘルパーは44.6歳だった。勤続年数では、全産業平均の11.4年に対し、福祉施設介護員は5.4年、ホームヘルパーは5.1年と半分以下だった。(1/7MEDIFAXより)

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