介護療養病床は実質単価変わらず/
社保審、介護報酬改定を答申
厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会は12月26日、舛添要一厚生労働相から諮問された2009年4月実施の介護報酬改定案を了承した。同審議会の貝塚啓明会長は同日、舛添厚労相に答申した。厚労省は09年2月以降に新しい報酬単位を告示する。
今回の改定は介護従事者の人材確保・処遇改善に焦点を絞り、負担の大きい業務やキャリアに着目した評価を導入。人件費の地域差を踏まえて、特別区などの地域区分の上乗せ割合を引き上げた。療養病床再編の受け皿となる介護療養型老人保健施設は報酬を引き上げた。一方、介護療養型医療施設の基本単価は、従来の栄養管理体制加算12単位を包括化したため単価自体は上がったが、実質は現状維持となった。
改定率はプラス3.0%で、在宅サービスは1.7%、施設サービスは1.3%の引き上げとする。介護報酬のプラス改定は今回が初めて。
介護従事者対策では有資格者割合や一定の勤続年数を有する者の割合を評価する。介護老人保健施設であれば、介護職員総数に占める介護福祉士の割合が50%以上は12単位(1人1日)、常勤職員が75%か3年以上の勤続年数がある人が30%以上であれば6単位(同) を加算。負担の大きい業務への対応として「夜勤職員配置加算」などを設けた。
地域区分の見直しでは、特別区(東京23区) の上乗せ割合を15%に、乙地は5%に引き上げる。サービスごとの人件費割合も従来の2類型を70%・55%・45%の3類型に改定。訪問介護は60%から70%に、介護老人保健施設は40%から45%に引き上げる。
医療と介護の連携に向けては、通所リハビリで「1時間以上2時間未満」を新設し、短時間・個別型を評価。医療保険からスムーズに移行するために、医療保険で維持期リハビリを算定する医療機関は介護保険で通所リハビリが行えるよう「みなし指定」を設ける。短期集中リハビリ実施加算は3カ月以内に限定し、「1カ月以内」は100単位増の1日280単位にするなど、大幅に引き上げる。
訪問看護はターミナルケア加算を引き上げるほか、「長時間訪問看護加算」や「複数名訪問加算」を新設し手厚く評価した。
認知症ケアの充実も図る。認知症の専門研修を修了した人に対し「認知症専門ケア加算」を新設。認知症短期集中リハビリは対象者を中・重度者まで広げ、対象施設に介護療養病床や通所リハビリ事業所を加えた。(12/26MEDIFAXより)